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労働は時間ではない (池田信夫 blog)

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f04ba9e037aed869b9ee78e854969e06

どっちが勤務実態に即しているかといえば、明らかに記者のほうだった。報道局の中でも、ニュース番組のようなデイリーの仕事をやっていると、残業はすぐ 100時間近くになってしまう。こういう場合、NHKのタイムカードは、打刻していない部分を手書きで修正できるようになっていた(!)ので、法定残業時間(50時間)に収まるように修正する「サービス残業」が常態化していた。他方、教育番組のような暇な職場では残業はほとんどないので、逆に残業時間を手書きで水増しするのが普通だった。要するに、残業規制なんて形骸化しているのだ。

今では、テレビ局のような仕事は「裁量労働制」が適用できるから、もう少し柔軟になっているかもしれない。また他の業種でも、「機長全員管理職」で有名な日本航空のように、管理職にすれば残業規制をまぬがれるので、「店長」などの管理職を量産している企業が多い。私がいま代表取締役を務めている会社などは、全社員が請負契約である。こうすれば雇用にからむ余計な規制がなくなり、勤務時間は自由だし「在宅勤務」でもよい。このように雇用はすでに多様化しており、今度の制度改正もそういう実態に合わせて規制を整理する意味あいが強い。

 これらって、雇用の多様化というより、経営者が法の抜け穴を利用しているもしくはこれくらいいいだろうという違法を繰り返しているだけの話じゃないの!? 今の残業規制が実際の運用に合っていないので抜け穴を塞ぐ、もしくは良い方向に変えるというのは分かるけど、これとホワイトカラーエグゼンプションの導入は果たして連動するだろうか!? どうもこのよく分からないホワイトカラーエグゼンプションはより経営者にうまい口実を与えるように見えるのだが!?

これを「残業代ゼロ法案」などと呼ぶのは誤りだ。厚労省は、現在の残業手当が総額で減らない水準をめどにしているので、これはNHKの記者と同じ「残業手当の定額制」である。手当をなくしたら「長時間労働の歯止めがなくなる」と労働組合などは反対しているが、上にのべたように今でも歯止めなんかないのだ。実態的な歯止めは労使の力関係であり、労働分配率が低下しているのは、長期不況によって労組の交渉力が低下したためである。これは規制を強化しても変えられない。

いま日本で重要なのは、既存の雇用を守ることではなく、新しい雇用を創造することである。雇用規制は、社内失業している中高年を守る役には立つかもしれないが、新しい企業の雇用コストを高め、雇用創造を困難にする。労働市場から締め出されているニートを救済するには、雇用規制を弱めて少しでも労働需要を増やすことが重要だ。「弱者」の名を借りて労組が既得権を守ろうとするのは、おなじみのレトリックだが、労組の組織率が18%まで低下した今日では、彼らは労働者を代表してはいない。

労働を時間で測るのは、工業社会の遺物である。商品の価値が労働時間で決まるという労働価値説は100年以上前に否定されたのに、いまだに賃金が労働時間で決まっているのが時代錯誤なのだ。定刻に出勤・退勤するのは機械制工業のなごりであり、情報社会では人々は時計で同期する必要はない。

もちろん製造業では、いまだに資本設備をもつ資本家と労働者の力関係の違いは大きい。企業理論が教えるように、物的資本の所有権によって労働者を間接的に支配することが資本主義の根幹である。しかし、すべての労働者が資本設備(コンピュータ)をもつ情報産業では資本主義の前提が崩れ、個人がE2E的に契約ベースで生産を行うことが可能になった。

 同意するところもあるが、出来ないこともある。私のところはもともと残業代がつかないのだが、みなし残業だろうが、50時間超はサービス残業だろうが、もともとが高給取りで、かつ多い少ないに限らず少なくとも残業代をもらっている人には、年収300万以下の人間が残業200時間以上働いても給料の額は同じという絶望は理解しにくいのではないかと思う。(200時間は働いたことはあってもそれなりの見返りはもらっていると思う) はっきりいって残業100時間は若さがあれば乗り切れるが、200時間となると絶対睡眠時間からして足りないので働いていても効率は上がらず、常に頭が朦朧としてくるし、こういう状態になると結構簡単に今このビルから飛び降りたら気持ちいいだろうなとか変なことを考えてしまう。まあ、そういうとき論客な偉い人達は「労働時間の長さを自慢するのはバカのすることだ。そんなおかしな会社にいるお前がおかしい」となってしまうのだが、本当に仕事が詰まっていたあの時はああするしかなかったというか、まあ私も当時は若かったというか……。(笑) で、これで残業していない時の月給とまったく一緒だとやっぱりどこかでココロが折れてしまうんだよねえ。単純に言うと働く喜びを見出せなくなってくる。これは、お金の問題なんだけど額面だけのことじゃなくて、自分の働きに対して対価をもらっていないような気がしてくる。仕事への意欲がどんどん減っていく……。

 で、さあ、ホワイトカラーエグゼンプションの導入って、こういう労働の人が増える可能性が高くないの!? この池田先生のしっかりした考察とかに関係ないところで、自分なんかは苦しい仲間が増えるというか「ざまあみろ、君も私と同じ負け組みだ」というすごく意地の悪い気持ちで、この際ホワイトカラーエグゼンプションの導入もありかなと思ってしまうのだが、日本全体の労働意欲としてはやっぱりやばくない!? アメリカのこれはかなり年収の高い人のみ適用だったと思うのだけど、どうも日本のそれはかなり年収の低いところまで適用出来るように変容している気がする。相変わらず、取れやすいとこから取るみたいな。

 また、TV報道機関、しかもNHKなどの特殊な労働体系をすべての労働者に当てはめられても困るし、ホワイトカラーといいつつほとんど全ての日本の労働者に当てはまり、かつ適用する年収の下限もはっきりしていない今の日本版ホワイトカラーエグゼンプション導入は地雷がどこにうまっているかさえもわかりづらい。年収の下限をあいまいにすると、経営者は絶対自分達に都合のいいように考え、際限なく「労働者を働かせれば働かせるほどお得」な方法を模索するだろう。だいたいみんなそんなにあの外資50%以上、偽装請負も会社のためと思っているような御手洗経団連会長の言うようなことを譜面通りにとって良いものだろうか!? 会社減税が推進されて個人増税が推進されたの最近のことだぜ!? あんた商人としてはでしゃばり過ぎで、まず自分の会社のところをちゃんと管理・整備してから、お上に文句を言えよ。また、首相の「導入によって、少子化が解消される」という言葉からして理解のポイントがずれていて、政治家がちゃんと深いところまで議論しているとも思えない。今でもサービス残業が恒常化している日本の会社で「じゃあ、定時に帰りましょう」には絶対ならないと思う。

 既得利権を守る中高年を守るのではなく、新しい雇用を創出しなければいけないという点は同意するが、サラリーマンとはそもそも会社による時間の束縛の対価に給料をもらうものであり、賃金が労働時間で決まっているのが時代錯誤というのはちょっと行き過ぎな気もする。賃金と労働時間が完全にイコールではないが、現代においても最も重要な要素であることには変わりはない。ホワイトカラーといってもいまだ労働時間と連動したIT土方みたいな仕事も少なくないだろう。果たしてホワイトカラーにおけるクリエイターの割合というのはどれくらいのものだろうか!?
 しかし、日本人全員がサラリーマンを辞めて、経営者になればいいのかなあ!?

ここで知的生産の鍵になるのは、物的資本ではなく人的資本であり、それをいかに効率的に配置するかが労働生産性にとって決定的に重要だ。長期不況の間に、日本の労働生産性はG7諸国で最低になってしまった。このまま低生産性・高コストが続けば、雇用は中国に流出するだろう。「フラット化」する世界の中で日本の企業と労働者が生き残るには、むしろ率先して雇用の多様化を進める必要がある。

 結局、ホワイトカラーエグゼンプションが導入されようがされまいが、仕事が集中して押し付けられる人はいるわけで、団塊世代という働き手が集団で退職していく今、そういう人が増えることはあっても減ることはない。で、そういう忙しい人達が残業代ももらえなくてモチベーションが下がり精神的に腐っていくのは将来的にも良いことであるとは思えないなあ。日本の労働生産性がG7の中で最低というのは、不況で会社に裏切られ続け、仕事に対する意欲の低下にもかなり連動していると思う。出来れば、忙しい人がさらに忙しくなる方法じゃなくて、さらにさぼりそうな人を締め上げて働かせる方向に持っていって欲しいよね。忙しくない公務員も含めて。


・関連リンク ホワイトカラーエグゼンプション反対はもっと戦略的に (ハコフグマン)

http://elmundo.cocolog-nifty.com/elmundo/2007/01/post_bf7b.html


・関連リンク 労働時間規制除外に意欲 (livedoor ニュース)

http://news.livedoor.com/article/detail/2971662/

 御手洗会長はホワイトカラー・エグゼンプションについて、「現在ある状況を、ある意味整理するもの。時間と仕事の達成が、必ずしも一致しないものがたくさんある。裁量的な仕事に携わる人たちに適した方法として提起したもの。働く方から言っても、今までと違った自由な働きができる」と強調した。

 その上で「残業コスト削減のおそれから、いろいろ言われているのだと思うが、私はそんなことはないと思う。今、労使関係はしっかりしている。乱用の問題は排除されるべきだし、しっかり労使で話し合って導入するわけだから」と述べ、導入に理解を求めた。