caprinのミク廃更生日記

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レディオヘッドを聴けばわかる音楽業界・ダウンロード違法化論の不誠実 (IT-PLUS)

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT0g000028112007

 岸氏の「プロとアマチュアのコンテンツは分けて考えるべきである」という考え方もまったく納得できない。なぜなら、著作権法は「プロクリエイターの生活を保障するための法律」ではないからだ。リエーターやコンテンツに対して「思いやり」が必要だというなら、まず彼らの印税率を見直すなり、職業クリエーターが最低限の生活を送れるようなセーフティーネットを作るべきだ。その方がはるかにクリエーターは「保護」されるだろう。

 制作コストがべらぼうに高く、物流コストも高かったアナログレコードの時代は、印税率が低くても文句を言うアーティストは少なかった。しかし、アナログレコードがビニールからプラスチックのCDになり、制作コストは大幅に安くなったが、クリエーターの印税率は変わらなかった。日本で音楽配信ビジネスが1999年にスタートしたとき、存在しないはずのジャケットや出荷コストなどをそのまま援用し、音楽配信の印税率を CDと同じにしていたのが他ならぬレコード会社である。

 制作にまつわる全体的なコストが大幅に下がってきたのに、なぜクリエーターの印税率は増えなかったのか。印税率が固定化されていたことでレコード会社の利益率が年々上がり、確かに「産業」としては大きくなった。しかし、果たしてそれでどれだけクリエーターが潤ったのか。

 なぜ、レディオヘッドのようにレコード会社を離れて自分たちで新しいビジネスモデルを構築しようとするアーティストが後を絶たないのか。乱暴に言ってしまえば、それはレコード会社がクリエーターに対して不誠実だった(あるいは、不誠実になった)からだろう。


■関連リンク 著作権法改正巡る2つの対立・「思いやり」欠如が招く相互不信 (IT-PLUS)

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT12000026112007

 正直に言えば、私はこの手の“権利者対デジタル論者”の問題を論じたくない。いつも当たり前のことしか言っていないのに、デジタル論者からは“コンテンツ寄り”と罵られ(“通信放送政策を操る音楽業界のロビイスト”とまで言われた)、放送業界やコンテンツ業界の人からは“ネット狂信論者”と警戒されるからである。しかし、今回は敢えて言わせてもらう。

 JEITAもMIAUも、個々の論点に関する主張には理解できる部分もあるが、全体として、制度変更に対する批判ばかりで、その前提としてクリエーターに対する思いやりが足りないのではないだろうか。今回文化庁が提示した制度改正が最善の策とは思わない。しかし、現行著作権法の抜本改正がすぐにはできないなか、深刻化した違法コピーとダウンロードへの対応として、権利保護の強化は止むを得ない面を持つのではないだろうか。

 デジタルとネットの普及でクリエーターは所得機会の損失という深刻な被害を受けている。MIAUは「一億総クリエーター」という政府の標語を引いているが、プロとアマチュアのコンテンツは分けて考えるべきである。放送局やレコード会社などを含むプロのクリエーターは、作品から収入を得ているのであり、その収入が激減するのを放置したらどうなるだろうか。ネット上でのプロのコンテンツの流通が増えるどころか、プロの道を志す人が減り、日本の文化の水準が下がる危険性もあるのではないか。

 だからこそ、デジタルやネットの関係者には当たり前のことを今一度認識してほしい。デジタルは手段でしかないし、ネットは流通経路でしかない。それらを通じてユーザーの元に届く魅力あるコンテンツの量が増えてこそ、そういった手段も栄えるのである。

 プロを守りたいというより、プロを囲っている音楽業界の利益を守りたいという風に読めた。
「デジタルは手段でしかない」と言うのに、アナログ時代よりもその手段を不可解に不便にして、使いにくくしているのは誰か!? 「ネットは流通手段でしかない」というのは、自分の囲ったプロのダウンロード販売とか流通しか興味が無いからか。自分とかネット寄りの人間はニコニコ動画とかを見ているとね、この場をクリエーターの登場の場とか、育てる場所とか、その人の名を広める場所とか、あらゆることに利用したいのだけど。


■関連リンク ネットはクリエイターの敵か (池田信夫 blog)

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/d74c36ced9a7ab194b3685a4627281db

岸氏がみているのは、本源的なクリエイターの利益ではなく、エイベックスというレコード会社の利益にすぎない。それが減っているのは、要するにレコード会社は衰退産業だからである。もっと効率的にコンテンツを流通させるメディアが出てきたら、CDが没落するのは当たり前だ。レコード会社にとってミュージシャンは不可欠だが、逆は成り立たない。マドンナにとってはCDよりライブのほうが重要だし、レディオヘッドのようにレコード会社を「中抜き」して、ミュージシャンが彼らの創造した価値の90%をとる時代が来るかもしれない。守るべきなのはクリエイターの利益であって、レコード会社の利益ではない。

 まあ、エイベックスの取締役が言うことだからねえ。元から公平性なんてありえない。


言及リンク 絶望の果てに (雑種路線でいこう)

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20071127/contents

わたしはMiAUとは意見を異にしているが、白田氏や津田氏、八田氏といったMiAUの面々が著作権について深く勉強され、状況によっては建設的な提案のできる常識人であると信ずる。彼らがMiAUを通じて活動家に転じたのは、まさに岸氏が指摘するような「現行著作権法の抜本改正がすぐにはできない」という絶望の中で、権利者の代弁をする論客は数多あれど、ネット利用者を代弁する論客はいないではないか、否ブログスフィアには数多いるのかも知れないが平場に出てきていないではないか、という問題意識からであろう。

彼らが絶望の上で利用者としてのポジショントークを意図的に演じている以上、彼らに権利者への「思いやり」を期待するのは筋違いだ。そして最終的に現行著作権法の抜本改正、例えばフェアユースの導入による事前規制から事後紛争解決への転換を志向するならば、諸外国をみても例がなく、新たな既得権益として制度改革を阻害する虞のあるダウンロード違法化に反対することは目的合理的といえる。

 それにJEITAMiAUを同列に語るのもちょっと無理があるような気もする。音楽流通業界にとっては、JEITAはコンテンツ普及のためには嫌でも付き合わないといけない大きな団体だけど、MiAUはまだ出来たばかりの小さな団体で、出来れば速攻で潰したいのだろうなあ。でも、ユーザーから見れば、一番MiAUが我々の声を聞いてくれる団体であり、ひいてはコンテンツ供給側が耳をもっと傾けるべき相手でもあったりする。