caprinのミク廃更生日記

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クリプトン・フューチャー・メディアに聞く(3): 初音ミクが開く“創造の扉” (ITmedia News)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/25/news017.html

 「こんなことが世の中に起きていること自体、奇跡だと思った」――同社の伊藤博之社長は言う。「みんなで作って公開するというムーブメント自体が、ありえないほどすばらしく、可能性に満ちている」

 公式では考えられない「ミク像」もできていった。ミクのデフォルメキャラ「はちゅねミク」の登場、「ネギを持っている」という設定――ネットの誰かによって作られた新しいイメージがみんなに受け入れられて急速に広がり、それを起点にまた、創作の連鎖が起きる。

 「はちゅねミクは、いい意味で初音ミクのイメージをぶち壊してくれた」と初音ミクの企画を担当した同社の佐々木渉さんは話す。「『創作ツールとしての初音ミクは何でもアリだと直感してもらえただろう。可能性が思いっきり拡散して、本当に良かった」

 「有名人ではなく、地下鉄で隣に座っているような人が、自分の恋愛など柔らかい部分をストーリーにつむいでいて、すごくリアリティがある。プロが『うまくもうけよう』とか『次のシングルはこうしないと』と意図するような世界とは関係なく生み出される、プリミティブなものを感じる」(佐々木さん)

 一般のCDなどと異なり、ミク作品は作ってすぐにアップでき、その直後から評価が寄せられる。ニコニコ動画ならではの速度で、作り手と受け手を、半リアルタイムでつなげていく。「完成から時間が経過していない、思いが込められたコンテンツは、たとえ荒削りでも、じかに気持ちを感じられる気がする。この“気がする”がすごく重要だと思う」(佐々木さん)

 “音専門”だった同社が、初音ミクを通じて思いがけず出会った、音楽以外の同人創作文化。その豊かさに驚き、応援していきたいと思いながらも、心を痛めたり迷ったり、とまどうこともある。

 例えばミクを使った18禁コンテンツの扱い。ミクが“脱いで”いる絵を入れた抱き枕や、ひわいな歌詞の楽曲、同人誌などは規約違反で認める訳にはいかない。「初音ミクが好きな小学生や幼稚園のお子さんが、Webでミクをたどってエロ同人に行き当たったりすると……」(佐々木さん)

 フィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル 2008」(2月24日開催)では、「ミクの2次創作フィギュア出展審査基準が厳しすぎる」と個人クリエイターから悲鳴が上がった。「創作申請があまりに大量で、多少辛く評価した側面はあった。そこまで厳しい条件になっていたとは気付かず、ユーザーさんには悪いことをした」(伊藤社長)

 「権利ガチガチで固めて既存ビジネスに乗ることは、よっぽど経営が危なくならない限り考えない。ビジネスチャンスは相当捨ててると思うが、もうけに走るとやりたいこともできなくなる」(伊藤社長)

 安易なキャラビジネスはミクの寿命を縮め、ユーザーのやる気をそぎ、せっかく盛り上がっている創作文化に水を差す。「2次創作物を集めて売るのも一時的なビジネスにしか見えない。一時的なものを一生懸命やっても、“祭り”が終わったら終わる」