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「ダビング10」実施先送りへ、なぜか総務省委員会で合意得られず (マイコミジャーナル)

http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/13/049/index.html

 総務省vs文化庁!? なぜか合意を得られずの『なぜか』に全ての問題が詰まっている。


■関連リンク iPodに課金する文化庁の倒錯した論理 (ASCII)

http://ascii.jp/elem/000/000/132/132100/

 文化庁によれば、補償金制度は今後、順次縮小する方針だという。ところが今回の改正案では、補償金の範囲をiPodやHDDレコーダーなどに拡大する。え? 何言ってるの? 順次縮小するものを今回は拡大するって、どういう意味?

 では、この補償金はクリエイターに還元され、その創作活動に役立っているのだろうか。補償金は機材や媒体から一定率で徴収され、録音については JASRAC、実演家団体協議会、レコード協会にほぼ3分の1ずつ分配されるが、その使途の詳細は不明だ。どんな曲がコピーされたかに関係なく、一括して「どんぶり勘定」で取る補償金は権利者に正確に分配できないので、大部分はこうした団体の運営費に使われている。つまり補償金は創作のインセンティブを高める役には立たないのである。

 そもそも著作権法は、著作者のためにあるのではない。その第1条に書かれているとおり、それは「文化の発展に寄与することを目的とする」法律であり、「著作者等の権利の保護」はその手段の一つにすぎない。ところが文化庁の官僚の脳内では、この目的と手段が倒錯し、著作者の権利(あるいはJASRACなどに天下る彼らの既得権)を守るために、文化の発展を妨害する法律を作ってきた。

 制度の改正にあたって基準とすべきなのは、それが文化の発展に寄与し、消費者の利益になるかどうかという著作権法の精神である。権利保護はその手段に過ぎないのだから、彼らの被害よりも消費者の利益のほうが大きければ、被害を補償する必要はない。

 そして私的録音の経済的被害は不明だが、iPodPodcastingなどのイノベーションによって、新たなクリエイターを生み出している。文化に寄与しているのがどっちかは明らかだろう。文化庁の官僚諸氏は、著作権法を最初から読み直してはどうだろうか。


■関連リンク 「ダビング10」の6月2日実施は事実上延期に −“デッドライン”にも日時確定の合意を得られず (AV Watch)

http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080513/dub10.htm

 6月2日の実施に向けた日時決定のデッドラインについて、機器メーカーから「デッドラインは本日。本日JEITAから、Dpaに運用開始日確定のお願いをさせていただいた。当初4月11日に日時確定という連絡を受けていたが、確定できなかったので、なんとかぎりぎりまでと考えていた。しかし、周知する上でも今日以降では難しい。本日中に確定していただきたい」(田胡委員)としたが、「フォローアップWGでの議論を受けて、早急に決めるというのが委員会の方針」(村井主査)とし、今回の委員会内での日時確定にはいたらなかった。

 村井主査は、「この件のわかりにくいところは、ほかに話し合っている場があること。それが合意形成のプロセスに影響を及ぼしているとすれば、この件に詳しい方がやってくださいと。それがフォローアップWGで、メーカー、放送事業者、権利者などで集まって、プロセスを進めるための議論をして欲しい。決まった技術に対して、ステークホルダー(利害関係者)が全部いる場で、どういう役割があるのか、どういう風にやるのかを話し合うのが、この委員会。最後の1合目をきちんと上がるため、速やかに進めていただきたい」と述べ、「6月2日という日時の背景は、普及に大きな弾みになるイベントが近づいていて、そのチャンスを利用しようということ。その点に皆さんのコンセンサスはあったと思う。ぜひ、収束に向けた議論をフォローアップWGで進めていただきたい」とした。


■関連リンク [社説][読売] 読売新聞がダビング10問題でメーカーを責める社説 (スラッシュドット・ジャパン)

http://slashdot.jp/it/article.pl?sid=08/05/13/0641217


■関連リンク 総務省の首を絞める文化庁 (池田信夫 blog)

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/853e5cf6e32fa6357eb6de74dec16ff2

このように消費者の利益を犠牲にして業者の既得権を守る文化庁の姿勢は、見事に一貫している。しかし総務省のみならず、経産省公取委内閣府知的財産戦略本部)も、こうした著作権行政に不満をつのらせている。先日のJASRACへの立ち入り調査なども、競争を阻害してきた文化庁への警告とみるべきだ。特に文化庁の妨害によって2011年のアナログ停波ができなくなれば、いま議論されている電波の新規割り当てもパーになり、国民経済にも深刻な影響が及ぶ。官邸や自民党指導力を発揮して、文化庁妨害工作をやめさせるべきだ。


■関連リンク 補償金制度拡大案への多くの疑問 (AV Watch - 本田雅一のAV Trends)

http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080513/avt025.htm

まず録音機器に関してだが、“おかしい”というよりも、素朴に“理解できない”ことがある。まずはそれらを列記してから、コラムを進めることにしたい。

* iPodなどDRM対応携帯プレーヤーは、いずれも2次コピーが行なえないよう設計されている。つまり、長期間、内蔵メモリに音楽を保管することを目的としておらず、著作権者に不利益はない
* 購入したCD、ダウンロード購入した楽曲データはもちろん、レンタルCDにもその楽曲を楽しむための、著作権利者へのライセンス料は発生している。
* CD内部のデータがデジタル的に複製できることは周知であり、著作権者・著作隣接権者がそれを知らずに価格設定、販売を行なっているとは考えにくい
* デジタルコピーによるCDの売り上げ減少が私的録音補償金制度の根拠になっているが、iPodなどの携帯音楽プレーヤーと売り上げ減少が深く結びついているとの因果関係を示す根拠・調査結果は全く示されていない。むしろ音楽を楽しむ場を拡大し、音楽産業の発展に貢献している面の方が大きいのではないか
* 最も大きな問題であるハズの組織的に複製を行なう犯罪的行為に対しては全く効力がない上、正規にコンテンツを購入して楽しんでいるユーザーにとってはさらなる負担増となる仕組みである
* 複製されない形式で販売したいのであれば、相応の対策が施せるメディア、手段でコンテンツを流通させる努力をするべき
* 私的録音補償金の分配が不明瞭。どのような基準で分配比率が算出され、私的録音補償金制度を維持するためにいくらの経費がかかっているのかは、税金に等しい強制徴収を行なうのだから明瞭にすべき

 そもそも、彼らはこれだけコピーが問題だと主張しておきながら、容易にコピーができるCDを販売しているだけでなく、1枚あたり200〜400円程度で借りることができるCDレンタル業者へのリースを積極的に行なっている。レンタル業者に対してリースを行なうことが、コピーを助長しているとは思わないのだろうか?

 もちろん、大手レンタル業者にリースを行なわなければ売り上げを出せないからなのだろう。そうした自己矛盾を含め、コンテンツを提供する側が現在の業界事情に合わせたビジネスモデルを再考すべき時期ではないだろうか。

 北米に比べ、2倍ものCD単価を付けて、なお利益が出せないという構造的な問題について自問すべきだ。適正な価格と流通手段なら、我々は欲しいと思えるコンテンツと、その著作権著作隣接権者に喜んでライセンスフィーを支払いたい。

 そもそも、彼らが補償金を勝ち取るための“取引材料”としているダビング10は、ヘビーな録画ファンにも、ライトユースのユーザーにも、あまり大きな恩恵を及ぼさない上、組織的にコンテンツをコピーしてアジア方面で流通させたり、複製を販売しようとしている違法業者とも、全く無関係の運用形態だ。以前にも、ダビング10についてはコラムを書いているので、そちらを参照していただきたいが、まとめると……

* コピー世代管理は従来と同じであるため、将来のメディアの継承など運用性は向上しない
* HDDへの録画を前提としており、HDDから削除する場合にはダビング回数が残っていても権利を失う
* HDD内で見て消してというライトユーザーは、そもそもコピー数が増えても関係ない
* 組織的な違法コピー業者はコピーワンス信号とは関係なく、すでに大量にコピーしている。こちらは別途、対策を考えるべきであり消費者に転嫁すべき問題ではない

 他にも書きたいことはあるが、著作権利者団体が言うほど、ダビング10に大きな価値はない。ダビング10を材料に私的録画補償金制度の拡大を阻止できるなら、いっそのことダビング10など無かったことにしてもいいとさえ思う。

 音楽コンテンツのパートでも述べたが、正しい運用をしているユーザーに対して、負担増を促す方策も、コンテンツの流通量が減るような方策も取るべきではない。コンテンツ流通を最大化し、市場を活性化させなければ、そもそもコンテンツでビジネスを行なうことなどできないのだ。