caprinのミク廃更生日記

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【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式 (何かごにょごにょ言ってます)

http://d.hatena.ne.jp/boiledema/20080610#1213114352

この部分、私が電話で父親から聞いていた話と食い違う。
少なくとも工場の正社員は6月30日付けで派遣はすべてクビと認識していたようだ。
期間工は契約更新しない形で順次数を減らすということ。

最終的には、正社員以外はすべて解雇する。
理由は、原油高による材料費高騰。しかも国内需要も伸びないので、引き続き好調な海外需要については、人件費コストの安い海外工場で生産する。
なんというか、これがトヨタのやり方か。トヨタの経営方針、在庫を抱えず、下請けからすぐに必要な分だけ部品を取り寄せるカンバン方式というのが有名だけど、
まさに、人間までカンバン方式なのだ。
自分たちが、労働者を買い叩いたせいで、若年層を中心に収入が減り、国内需要が減ってしまったら、海外市場は好調なのでとっとと生産拠点を海外に移転してしまう。

だが、そもそも犯人の環境は、他者と関われないシステムとして存在している。
見知らぬ土地に連れて来られ、社員からは顔を覚えてもらえず、あたかも部品の一部として明日の生活を奪われる。俺はボルトじゃねえ。
派遣同士のつながりというのはどれほどあったのかは分からないが、(ニュースを見ていると同僚同士多少はコミュニケーションがあったようだが)希薄だったのではないか。
他者と関わりと持てず、漫然とモチベーションの上がらない仕事をしながら明日の生活に怯える。
他者のいない生活の中で、自分ばかりが肥大してしまう。ツッコミすら入らないのだから。
彼女がいない、ということに対して相当の劣等感を持っていたようだけど、承認の象徴が「彼女」だったのではないか。
無論、背景には恋愛至上主義もあるだろうし、若い男なのでそれ相当に性欲もあるだろうが、友達でも親でも、頼れる上司でも、あるいは猫だろうが、代替は可能だったのではないか。少なくとも道を踏み外すほどにはならなかったのではないか。

犯人は他人を巻き込まず、一人で勝手に死ねばよかった、そう言う人は多い。裾野市なので富士の樹海は近い。だが、犯人があのまま秋葉に行かず、一人樹海に向かったとしても、誰も探しに行かなかっただろう。
派遣会社も、派遣社員の同僚も良くあるバックレとしか思わず、社員はいなくなったことも知らない。
そのことを思いついたとき私は全身が寒くなった。
身震いするほどの孤独がそこには存在する。
人間としてみなされていない人は、他の人も人間としてみなさない。凶行の背景には、凍えるほどの孤独が生み出す負のスパイラルがある。

ウチの親父は高校卒業後、18で関自に入社して以来、長く勤めている。
昼夜2交代の勤務で、キツイ仕事ではあったが、それなりに安定していた。
しょぼい家ではあるが、家も建てたし、私も大学に行かせてもらった。不満を言いつつも、トヨタの技術力に誇りを持っており、車にはこだわりがあり、かなり頻繁に乗り換えていた。
父と同じ会社で働いていても、派遣労働者達は、派遣である以上、父と同じようには生きれない。
持ち家どころか、自分の作った車をローンを組んで買うこともできないし、子供を大学にやることもできない。

まあ自分も似たようなもので、父のリソースに依存することで、犯人ほど絶望せずにいられる。皮肉ではあるけれど。
今回の犯行について、樹海に入っても誰にも気づかれず死ぬのは嫌だった。
己の存在で社会に爪あとを残したかった。そう思うなら、こんな選択肢にはまりこんでしまった彼の愚かさを呪う。
貧困の問題に対して、5重の排除というものがある。教育、企業、家庭、公的福祉、そして最後が自分自身からの排除だという。

それからもう一点、ここ数年盛り上がってきた派遣労働をめぐる運動について、非常に悔しい点がある。
関東自動車は最初に述べた通り、派遣労働をすべて切ろうとしている。親会社のトヨタそのものがそういう意向である。
派遣労働をやめてしまうことで、派遣問題そのものが無きものになってしまう。
無論、国内需要が減ってしまったのも原因だが、コストがかかって組合とかが絡んでウルセー派遣使うなら、海外に移転してしまった方がいいと思われてしまったかもしれない。
派遣はなくなるが、日本の雇用そのものが空洞化し、国外に移転する。
派遣がなくなった代わりに、失業者が増えてしまう。プレカリアート運動を密かに応援していた私としては
「お前らが余計なこと騒ぐから」と後々言われないか心配でもある。

 素晴らしい文章なのでちょっと多めに引用。また、この人の親父さんが特定され、TOYOTAから圧力がかかり、この文章が消される可能性もあるので。TOYOTAの幹部の話はまあ蛇足だわな。
 しかし、日本と違ってアメリカにあるTOYOTA工場ではこのようなことは起こらないはず。向こうでは雇用条件が合わなければあっという間に辞めていくだろう。日本人の身を粉にして働くというメンタリティも問題があるのかなあ!? なんにしろマスコミは「犯人はヲタク」ということ以外にも焦点を当て、犯行動機の背景をちゃんと報道して欲しい。


■関連リンク 秋葉原通り魔殺傷事件(その6)容疑者は日研総業派遣社員裾野市にあるトヨタグループの関東自動車工場勤務 6月一杯で辞めるよう通告を受ける (天漢日乗)

http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/06/6_6_b5bd.html

ええと、
 人材派遣会社に対しては、このような不祥事が二度とないように、人材の確保、管理、監督について要請していきたい
ってことは
 こんな凶悪犯罪起こすようなクソカス派遣してくるんじゃねえよ、ボケ。天下のトヨタグループの名前に泥塗りやがって、日研総業は次からウチじゃ使わねえからな。
と翻訳してもよろしいでしょうかね。で、
 弊社としましても管理、監督を含めて良い職場づくりに努めていきたい
というのは
 やっぱ、管理・監督がまずかったかな、もうちょっと派遣を人間扱いしようかな
とか読めてしまうのは、深読みが過ぎますでしょうか。

 うちの工場で働いてたのは事実だけど、派遣だからね、責任は派遣会社にあるからね
という
 他人事モード全開
ですな。
 派遣をたくさん受け入れて操業しているトヨタグループの「人材」観
がよくわかる、ステキなアナウンスメントだ。
 いつでも交換可能な「部品」=派遣
って位置づけね。要するに
 仕事さえすれば、「人間である必要はない」
のだろう。

僕と(加藤容疑者の)2人だけ(会社に)呼ばれて、はっきり6月いっぱいまでと。
(その後、契約が)1ヶ月から3ヵ月に延長された。
ここ何週間かは悩んだ。人員削減で」(加藤容疑者の同僚)

とすると、(その3)で時事が報じていた
 加藤容疑者の契約期限は来年3月までだった。
は、
 6月末解雇が3カ月伸びた
というこの同僚の証言からすると
 嘘八百
だし、毎日の報じていた
 派遣社員を6月末で200人から50人に減らす計画があったが、加藤容疑者は、自分が対象ではないことを派遣会社から知らされていた
だって、きちんと裏が取れてないトバシじゃん。
 3カ月後に解雇
なら、
 6月末にはクビにならないけど、8月末にはアウト
ってことでしょう?


言及リンク 分断される人々 (POLAR BEAR BLOG)

http://akihitok.typepad.jp/blog/2008/06/post-79c6.html

この指摘は、工場で派遣社員として働く人々だけでなく、将来にはより多くの人々が<他人との関わりを持てないシステム>の中で働くことになる危険を示しているように感じます。そうした分断状況に置かれた人々が、何らかのきっかけ(今回のように、突然仕事を失いそうになったり、唯一の心の拠り所であったネット上で罵倒されたり等)で絶望感を感じたらどうなるか。もちろんそれが犯罪を正当化するわけではありませんが、自暴自棄になるなというのも難しい話でしょう。


言及リンク 蟹工船が平積みとなった挙げ句のアキバ事件か (雑種路線でいこう)

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20080611/akiba

例によってネットやゲームと関連づける規制派もいるだろうが、相関でいえば若年不安定就労と犯罪との因果関係の方が明らかで、銃刀法改正の前に若年就労対策や派遣業法改正を打ち出すのが先ではないか。経済界に対する遠慮でもあるのか勘繰りたくなってしまう。

資源高で潮目が変わりつつあるこの時期に、いきなり製造業派遣を見直すことは難しいにせよ、職業訓練やジョブカード以外にも若年層の能力蓄積に対して企業・社会が投資する仕掛けを増やす必要がある。今回の容疑者のように雇用保険から零れ落ちた層の職業訓練も、早急に措置する必要があろう。


■関連リンク 派遣労働に関する思い出 (Rails で行こう! - Ruby on Rails を学ぶ)

http://d.hatena.ne.jp/elm200/20080610/1213109056

私が、この工場で働くには、はっきりした動機があった。当時(まったく稚拙ながら)沖縄へ移住する計画があり、そのための資金稼ぎだったのだ。はじめから3ヶ月で辞めるつもりだった。工場労働は私には単調で苦痛ではあったが、期限が区切られていたから耐えられたのだろう。私が、この犯人のように、未来のあてもなく、だらだらと働き続ける立場なら、もっとつらかったと思う。まして、彼の工場では「派遣社員を6月末で200人から50人に減らす計画」があったそうで、リストラにおびえる日々だったらしい。切ないねえ。

彼のしたことはもちろん許されることではない。ただ、彼がその孤独感をもっと建設的な形で解消できなかったのか、と思うと残念だ。実際には派遣社員にもいろんな人たちがいて、自分を不幸だと思っている人たちばかりではないはずなのだが。私のように、短期で稼いで辞めるんだと最初から思っている人間には、派遣という手も悪くない。ただ、本当は正社員になりたいのに、派遣社員にしかなれない人たちは・・・しんどいだろうな、と想像する。

どうやら彼が稼いでいた給料は私が13年前にもらっていた給料とほぼ同額であるらしい。(手取り月20万円程度) バブルがはじけた後の日本の失われた年月を象徴しているようだ。日本が、若者にとって未来に希望をもてない社会になってしまっているとしたら、ちょっと悲しいね。


■関連リンク 臨床してて思うこと(精神科) (Doctors Blog 医師が発信するブログサイト)

http://blog.m3.com/moromoro/20080610/2

今回の事件で、勝ち組・負け組の話の流れで、
派遣(トヨタ)で働いていたことが話題になっているけれども、
たぶんそれは、犯行に踏み切る最後の一歩の問題。
ジャンプに踏み切る位置の問題。
むしろ問題は、ド田舎の秀才が進学校で落ちこぼれたとき、
そのプライドを抱えたまま、下請工場で働くことが
どれだけ大変かということにあると思う。
            
そこで一から出直せばいいという人は
世の中を楽しむすべに長けた人だと思う。
人の気持ちがわかる、人の輪の中でハッピーになる「方法」を知っている人。
人の気持ちがわからない幅の狭い僕らにとって、
人の中で一からとか、すごく難しいことだ。
ハッピーになるというのは、自分で自分を肯定することだけど、
肯定できず、しかし自分のプライドも捨てられず、
恨みをつのらせるという病理は、
医者の大部分が「わかる」面があるんじゃないか?