caprinのミク廃更生日記

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貧困層インタビューから見えてくる中国 (SAFETY JAPAN)

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/bookreview/42/index.html

 やがて「いつまでも病院にハンセン病でない者を置いておくわけにいかない」と、退院になった彼は故郷に戻るが、すでに自分が耕すべき田畑はなくなっていた。ハンセン病の病院帰りということでひどい差別を受けた。彼は彼同様にハンセン病と誤診され、強制的に入院させられていた女性と結婚し、彼女の持っていた田畑を耕して暮らすようになる。

 その後、妻がまた病気になる。ハンセン病の症状ではなかった。しかし村人はハンセン病をまた発病したと誤解し、恐れ、ついには病気に苦しむ彼の妻を生きたまま焼き殺してしまったのだ。

 “無実”の女性を焼き殺すことを、誰もが、村を守る正義の行為と思い込んでいる。もちろん公権力も介入しない。それどころか、張志恩は妻を焼き殺されたにもかかわらず、通常の葬儀のように村人に対して食事を振る舞わねばならなかった。

 三日三晩の厳重な取り調べのあと、私たちは『重罪ごろつき輪姦集団』と認定されました。私の指の関節を見てください。みんな変形しているでしょう。これは箸ばさみの刑です。『審妻』という四川の伝統劇に出てくるのがこの刑です。だれがこの刑に耐えられるでしょうか?
 そのうえ、拳骨で殴られ、足で蹴られ、唐辛子入りの水を口に流し込まれました。さらに憎たらしいのは、警察が疲れると、投獄されていた労働改造犯を呼んできたことです(松浦注:著者の注釈によると、官憲は服役者に拷問を行わせることがあるとのこと)。私の生殖器には今でも傷が残っています。タバコの火を押し当てられたものです。無理やりこすって硬くさせ、亀頭を焼かれたのです。(本書 p.212)

 一方、本書の内容が、中国の実態を暴露したものであるとするなら、「上に政策あれば下に対策あり」とばかりに、民間はむしろ本書の流通に加担するだろう。その内容が国内外に知られたくないものであればあるほど、中国政府にとって発禁処分のメリットは大きくなり、リスクは受容範囲内ということになる。

 中国国内で、本書の海賊版が複数流通しているということも、本書の信頼性を別の方向から裏打ちしているといっていいだろう。海賊版は、第三者が純粋に利益のために出版する。「売れない」と判断された本の海賊版を出す者はいない。

 つまり、中国の人々は本書を読みたがっているのだ。海賊版の入手という危険を冒してまで、虚偽を読みたがる者はいない。明らかに本書は、人民日報や中央電視台といった官制メディアが伝えない、しかし、中国の人々が知りたいと思っている事実をまとめているのである。