caprinのミク廃更生日記

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『苺ましま論』 それこそ片腹痛いわ〜

・「『苺ましまろ』美羽の横っ腹をどう捉えるか問題」とオタクの視点 (たまごまごごはん)

http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20070503/1178134101


・続きリンク 「苺ましまろ」の1シーンから考える、読者側のマンガの楽しみ方

http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20070506/1178391492

 遅ればせながら、やっとコミック読んだ。

 若い子もきっと混じってコメントしていると信じたいが、いいおっさん達が「かわいいは正義」というロリコン漫画で美羽の「本当にお腹が痛かったかどうか!?」を本気で論じること自体がギャグだと思った。まさに「片腹痛いわ〜」だ。だいたい美羽も言ってたじゃないか、「ほら見ろ やっぱりキモいんだよ おまえら」って。*1 あ、でも私もこの漫画を買っているいいおっさんなので石は投げないで下さい。(笑)

 うーん、でも正直な話、この手のギャグマンガの分析って、お笑いヲタクがダウンタウンのまっちゃんのお笑いがいかに素晴らしいかを理論的に語るような不粋さをちょっと感じてしまった。この言い方が適切でないのであれば、『カードキャプター』のさくらと知世の子供の友情をガチ百合として妄想するような、『おおきく振りかぶって』のバッテリーをガチホモとしてスポーツを汚すようなヲタクの不健全さに近いかな。「それでも俺はこの妄想を止められないんじゃーっ!!」という人は、それはその人のヲタクの正義として好きにすればいいし、その情熱を同人誌にでも描いて発散してもらえれば、エロもたしなむ!?Caprin的には2度おいしいのだけど、『マリみて』の同人誌にガチエロが極端に少ないように、『苺ましまろ』の世界観に「実は生理なんじゃね!?」とか「実はストレスで苦しんでいる」とかはなんか違和感があるんだよな〜。結局はあれこれ深読みするよりもシュールな展開に単純に笑った方が勝ちみたいな。

 この回のばらスィー氏の思惑がどうであれ、彼がモーヲタの感性に近いモノを持っているとすれば、そういうぎくしゃくした舞台裏をあからさまに見せる表現は今後もしないはずで、あのまま謎な回のままだから、あれはおもしろいんじゃないのかなあ!? アイドルの舞台裏にまで突っ込みはじめると加護・辻コンビみたいにあっという間に新鮮味が薄れてしまうぞ。*2 アイドルがうんこをしないように『苺ましまろ』の世界に生理はないのだっ!!*3 ま、それでも深読みしてしまうのヲタクの悲しい性か……。


・関連リンク 『苺ましまろ』5巻のリアリティ −傷ついたのは誰の心− (ラブラブドキュンパックリコ)

http://d.hatena.ne.jp/Maybe-na/20070506/1178467417

傷ついたのは誰の心? episode.45の「ひとり」で、美羽は誰からも省みられなかった。episode.49の「どきどきバレンタインデー」で、美羽は一言しか発言できなかった。まるで「あの子はああいう子だからほっとこう」という場面を見ているようである。空気の読めない、面白ければ相手をどれだけ貶めても良いというコントの人間関係を実際の人間関係に当てはめる子がどのような状況に陥るかを示しているのである。美羽は確かに傷ついている。しかし周りの人間はもっと傷ついている。漫画という「番組」の中ではそのような描写は描かれないが、楽屋裏でギクシャクしている。そうしたギクシャクが表面に出たのがこの5巻なのだ。単行本のページを開いてすぐのカラー扉も、美羽だけは部屋の外にいる。美羽だけはあの4人と同じ立場ではないのだ。今まで、具体的には4巻までは“一員”だった美羽は、もう一員ではない。4人の外側から4人をいじってギャグを作り出す、ギャグメーカーとしての立場。プロ野球チームの助っ人のようなものかもしれない。仲間の中で全く異なるキャラクターを演じるため、マンネリになりがちな生活のスパイスになる。しかし、やはり外様なのだ。異質な存在なのだ。美羽の横腹が痛くなったのは偶然ではない。ばらスィーは、美羽に頼り切っていた今までのストーリーを見直すと共に、実際の生活で美羽がいたらどうなるかを描いて見せているのである。あれは決して「美羽だから」で済まされる問題ではない。全ての「空気が読めない」「何かあっても“ネタ”と言う」人達がどのような人間関係を構築し、どのような末路を辿るかを、詳細にシミュレートしているのである。

苺ましまろ』は決して「オタク的ぬるま湯」の世界などではない。一見ぬるま湯のように見える中で、人間関係は刻々と変化し続けている。それはばらスィーの気まぐれかも知れないが、私には一見仲良さそうに見える女の子同士の人間関係が時間の経過によって変化していく様子を詳細に描き出そうとしているように見える。それはとても残酷な物語である。

 無邪気な子供っていう存在は大人が作り出した幻想であり、実際の子供はその経験の少なさから善悪の区別もつかないから、悪気がないぶん相当に邪悪な存在でもあったりする。美羽の性格ってそういう現実を一身に背負わされた実は不幸なキャラクターなんじゃないかなあ。おっとりとした茉莉ちゃんとかアナちゃんにそのキャラクター性を背負わせられなかっただけで。
 だいたい美羽は一人っ子で、伸恵の気を惹く目的のためには手段を選ばずというところがあって、ちょっかいを出された人にとっては迷惑極まりないが、何回も無駄なチャレンジしてみるところなど、傍から見るとかわいくてしょうがない。でも、それはどんなにがさつな関係に見えても伸恵と千佳との血のつながった姉妹関係に自分はなれないということ、茉莉とアナとの関係の間に自分は入れないということ、伸恵と千佳にはどんなにひどいことをしても最終的には許してもらえるということを無意識下で知っているからやっている行動なのかもしれないな。それは確かに「甘え」かもしれないが、いいんだよ子供なんだから。(断言) どんなに伸恵に蹴られても最終的には抱きしめてもらえると分かっていて、彼女はノーガードで飛び込むんだ、かわいいじゃないかっ!!

 また、私的には「5巻では美羽に対して皆厳しい」のも5巻での美羽のはっちゃけぶり(というか「おいた」)が他の巻よりもすごかったからではないかとわりかし単純に考えている。ちーちゃんのプリンを食べるなんて本当にひどいっ!!*4 でもその反面、美羽がほとんど動かなかった「片腹痛い」の回がより際立ってくるわけで、それは作者の狙っただけの効果はあったんじゃないかな。


 そして、どうも残念ながら読者の結構な数が「美羽は要らない子」扱いしていると思うのだが、そもそも彼女がいない、毒のまったくない甘いだけの『苺ましまろ』もなかなか想像しにくい。茉莉ちゃんとかアナちゃんだけのゆるゆるした回みたいなのが、今後サイドストーリー的にあったとしてもメインのストーリーで美羽がいないというのはやっぱり考えにくいのだ。特に今回のエピソードは、美羽がほとんど動かないことで逆にその存在感の大きさをおもいしらされた回となったわけで、だから今後も上っ面でどれだけウザがられようとも美羽は物語の中心にいてみんなをひっかきまわしていくのだろうな。

 だいたいな〜「かわいいは正義」をまさに体で体現する美羽のかわいさを分からん奴はまだまだ子供だ、この馬鹿ちんどもめっ!!*5 でも、6巻あたりでは本気でちーちゃんに嫌われて、本気で泣く美羽とか謝る美羽もぜひ見てみたいよね。(おい) ちょっと意地が悪い見方だとは思うが、ちーちゃんとの関係の修復(特に5巻のプリンの回)という意味においてはそういう場面も今後必要かもしれない。

 また、「痛い子」という意味では、エロゲとかの登場人物にも多いのだが、目上の人だけでなく同級生や親に対しても丁寧語でしゃべるキャラとかの方が美羽なんかよりリアルではよっぽど痛いぞ。そんな他人の視線をいつも気遣う子供なんて見たくない。自己の否定に対して過敏に反応するヲタクじゃあるまいし、美羽は子供は子供らしく空気が読めなくて当たり前、傍若無人でひどいのに許せてしまうから「かわいいは正義」なんじゃないのかなあ……。

 なお、この一部の不穏な発言に対しては「ノークレーム、ノーリターン」でお願いします。(笑) *6 だって、やっぱり『苺ましまろ』を愛読するようなヲタクってキモいじゃ〜ん。*7 伊達に本棚に並んでいるのを女性に見られたら恥ずかしいコミックNo.1の座に輝いているわけではないのだ。*8

苺ましまろ 5 (5)
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*1:その言葉は読者に向けられたものはないけれども

*2:辻がもう結婚してしまう上にすでに妊娠中という発想はさすがになかったわ〜

*3:今、俺がそう決めたっ!!

*4:厳密には食べてはいないのだが、千佳との約束を反故にした点で裏切り行為であることには変わりはない

*5:でも基本的に自分はちーちゃん派だったりする

*6:コミックの最後の方にあったネタです、念のため。真正ロリコン以外の異論・反論は全然ウェルカムですよ。

*7:ク、クリリンのことかーっ!!

*8:なお、自分の本棚にはこれまた同じく電撃系の『よつばと』と『ガンスリンガーガール』との間にしっかりこのコミックが鎮座していることを付け加えておく、合掌