caprinのミク廃更生日記

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クリプトンとドワンゴのやり取りをウォッチしてみるよ

初音ミク対戦表

第1回戦 初音ミク VS 電通
第2回戦 初音ミク VS TBS
第3回戦 初音ミク VS Google Yahoo!
第4回戦 初音ミク VS JASRAC
第5回戦 初音ミク VS ドワンゴ ←いまここ!!

 ニコニコ動画を持つニワンゴは敵か味方か!? そして、ドワンゴの親会社、avexは出てくるのか!?


■クリプトン社の謝罪に対するコメント (ニコニコニュース)

http://blog.nicovideo.jp/niconews/2007/12/000744.html

 著作権の法的な扱いは詳しい人にまかせるとして、それ以前にビジネスのやり取りとしてこのテキストをウォッチしてみる。

当初はドワンゴ社が直接各権利者と契約を行うことでクリプトン社と合意しておりましたが、その後、クリプトン社様より権利関係の処理につき権利代行の会社を指定され、配信に伴う一切の権利処理はその代行会社を通じておこなう旨の話を受けました。そこで、ドワンゴ社はすでに配信のコンタクトを行っていた権利者の連絡先を権利者の許諾の上権利代行会社に通知し、権利代行会社が各権利者と契約を行い、さらにその後権利代行会社と当社が配信に関するライセンス契約を締結することで合意いたしました。

その後ドワンゴ社と権利代行会社間において、配信条件等の詳細につき合意いたしました。その際に、すでに当初の合意から相当の時間が経過していることもあり、直ちに配信することにつき了承を得ました。

その後、当然締結されていると考えていた各権利者と権利代行会社間の契約書が締結されていないことが、権利者からのクレームで判明いたしました。

当社は非常に驚き、早急に権利者との契約を締結するよう、重ねて権利代行会社に強く申し入れを行いましたが、なんら返答がなく、契約書が締結されないまま今日に至っております。
当社としては、クリプトン社側で原盤権の管理を行うとの決定をされた以上、当社及び権利者の皆さんの納得の行く説明を早急に行っていただきたいと考えます。


■続きリンク クリプトン社様からの着うた配信の経緯(2)に関して

http://blog.nicovideo.jp/niconews/2007/12/000751.html

3.「着うた無断配信」との主張に関する当社の見解
ドワンゴ社におかれましては、口頭の承諾で受け契約は後で、という業界のルールが、一般の方も多いクリエイターの意識とはズレがあるということをご認識いただき、今後は弊社側できちんと書面での確約が取れてから配信に移すということを守っていただきたくお願いします。」
と当社に求めていますが、今回、着うた配信を権利者様と契約書無しにドワンゴに許諾したのはクリプトン社様側であり、ドワンゴではありません。クリプトン社様側とドワンゴ間には契約書が存在いたします。契約書が存在しないのは、クリプトン社様側と権利者様間です。
そして「一般の方も多いクリエイター」との契約書の締結をおこなわずに、長期間放置したのは、クリプトン社様側であって当社ではありません。
当初は権利者様と当社間で、契約をする予定が、クリプトン社様の要求で、クリプトン社様が契約を直接締結することになったにもかかわらず、自らが起こしたトラブルの責任を当社になすりつけるような主張は、クリプトン社様の企業としての姿勢を疑います。

4.最後に
伊藤氏のブログには正しい事実関係に基づかない、いいかげんな記述が多すぎると当社は考えています。意図的に当社のイメージを損なうような悪意ある書き方をおこなったのではないかとさえ考えざるを得ない部分が含まれています。
当社は、もとより今回の一件の円満な解決を望むものです。昨日も長時間にわたり、クリプトン社様ともお話をさせていただきました。共通の認識も多く有意義な打ち合わせであったと考えております。しかしこれまでの、一方的に当社に非があるかのような主張を正さないまま円満な解決は望めないものと考えております。
正確な事実関係を両社で共有できた上で初めて両社のポジティブな関係の構築を目指すことが出来ると考えております。

 うわ、なんかすごいことになってきたな。まず、初音ミクウォッチャーとしては、メールの内密なやり取りではなく、Blogでのこの空中戦を全世界に公開している両社に感謝したい。それはつまり本来はどこまでいっても外野である我々が両者の言説を吟味し陪審員みたいな役割を演じられるからだ。

 しかし、この文章、ドワンゴは若い人に書かせているのかな!? 年配の人が書くなり、上司のチェックなりが入ればもっと言葉遣いに遠まわしな表現があってもいいのだが、どうも相手に対して嫌悪感のよく分かる素敵テキストとなっている。子会社のニワンゴにとっては余計なことをすんな*1と思ってしまう内容だし、ドワンゴのさらに親会社のavexにとっては、『のまネコ』の失敗から何も学ばなかったという不名誉な烙印を押されてしまうので早く消火してしまいたい出来事になりつつある。

 どちらにも非があったのは確かだし、クリプトンの伊藤社長が著作権の契約に関してあまり詳しくないのも明らかだ。しかし、だからこそこういう契約に慣れているドワンゴは、相手側が納得するまで詳しく事情を説明すべきだし、お互い譲歩して歩み寄るために相手の反論から妥協点を見つけるのが交渉ごとの常套だ。「こちらは悪くない、一方的に悪いのはそちらだ。」という相手に反論を許さない態度をとって、相手の態度をより強固にさせてしまったら、まとまるものもまとまらない。なにより、書いている人に考えて欲しいけど、相手の立場になった時、「いいかげんな記述が多すぎる」、「悪意ある書き方をおこなった」、「トラブルの責任を当社になすりつける」、「円満な解決は望めない」とのたまう相手と信頼して話し合いをしたいと思えるのかどうか!? どんなにドワンゴがクリプトンよりも大きい会社で偉かろうと、「初音ミク」の登録商標を持っている産みの親*2に「お前のところにうちの娘はやらん」となったらこれ以上の交渉決裂もなかなかないよ。あくまでビジネスライクに行くなら相手の矛もちゃんと収めてあげる余地は残しておかないと。現在では、DTMユーザーにとってニコニコ動画初音ミクの最大の発表の場であることは紛れも無い事実だが、YouTubeStage6という代替品があり、さらにその親(クリプトン)がピアプロという親公認の別の婿を育てている最中にあっては、ニコニコ動画であってもその立場はいつまでも絶対というわけにはいかない。またニコニコ動画にとっても、やっとCGMの芽が出始めた今、その柱のひとつである初音ミクとそのユーザーを失うのは、あまりにも痛いということは社員にとっては百も承知なはずだ。高校生同士の喧嘩くらいまでならいいけど、この書き方で会社の本音をぶっちゃけられてもねえ……。
 ニワンゴJASRACとの提携でニコニコ動画著作権無法地帯を少しでも良くしようと最初の一歩を踏み出した点、紳士な態度で片手で握手をしながらも片手では両者とも拳銃を隠し持っていそうなやり取りに、私的にニワンゴの評価が高まっていただけに、親会社がそれを踏みにじっちゃやっぱり駄目だろう。鴨ならぬ初音ミクがせっかくネギしょってやってきているのだから、食べる前に逃げられたら元も子もないでしょ、もったいない。

 そして、学校の国語の先生とかにお願いしたいところだが、この文面「のまネコ」の時の文章の時と同じように赤ペン先生ばりに添削してやってくれよ。意訳的には同じでも文面の字面を変えればまだ怒りの沸かない文になると思うんだよねえ……。それだけで印象が変わってくるはずなので、それをまた読んで冷静に判断したいところだ。
 あとは、KEI氏がまた初音ミクに「またまた、ご迷惑をおかけしております」の看板を持ったCGを描いてくれたら完璧だね。(笑)


■言及元リンク 着うた配信の経緯 (メディアファージ事業部 ブログ)

http://blog.crypton.co.jp/mp/2007/12/post_61.html

ドワンゴ社着うたサイトにて、クリエイター様の許諾を得ずに着うた配信が行われているという件で、弊社の見解を示します。この業界では口頭での許諾でスタートし、契約書は後で取り交わすというのが通例ということらしく、とりあえずドワンゴ社はクリエイター様にダイレクトに連絡を取って、配信OKの確約を集めていた様でした。その上で弊社に着うた独占配信の許諾を迫るわけです。しかし弊社は一社に配信を独占させるということは好ましくないと思っており、この交渉は暫く平行線をたどります。ほどなくして、弊社とドワンゴ社との間に仲介業者が一社入ります。この仲介業者を立てたのは弊社の意志です。それは、製品の開発などで業務負荷が増しておりましたので、ライセンス業務に実績がある会社を間に立てることで独占などの文言を外し、業務を速やかに行うためでした。しかし、間に一社入ることでむしろ契約が煩雑になってしまいました。一方、ドワンゴ社は既に口頭ベースの許諾で楽曲の配信を開始してしまっていたので、結果クリエイター様との契約が延び延びになってしまいました。これは、事務手続きを円滑に管理できなかった弊社にも落ち度があると思います。また業界の慣例に慣れていないことも原因でした(まず契約を交わした後にビジネスを始めるというのが普通と思ってました)。クリエイターの皆様には大変な不安と混乱を与えてしまい大変申し訳ございませんでした。今後は体勢を改めるとともに、クリエイター様には速やかに連絡を取り契約を済まさせていただきます。なお、弊社が行う契約は、着うた配信に限定したものであり、JASRAC等の登録は断じて行いません。従いまして、契約した楽曲がネットで自由に聞けなくなる等の不都合は起こりませんのでご安心ください。


■言及元リンク 着うた配信の経緯(2) (メディアファージ事業部 ブログ)

http://blog.crypton.co.jp/mp/2007/12/2_3.html

なお、ドワンゴ社におかれましては、口頭の承諾で受け契約は後で、という業界のルールが、一般の方も多いクリエイターの意識とはズレがあるということをご認識いただき、今後は弊社側できちんと書面での確約が取れてから配信に移すということを守っていただきたくお願いします。


『以上の経緯により、当該楽曲につき、クリプトン社サイドが当社がJASRAC信託を行うことを知らなかったということはありえませんし、当初はクリプトンサイドがJASRAC信託を行う意向を有しておりました。』

これは全くの誤解です。クリプトンサイド={弊社, 仲介業者}ということを指していると思いますが、まず弊社自身がJASRAC登録を行うということは「あり得ない」です。権力に迎合する姿勢は弊社のポリシーに合いませんし、そんなことをすればどんな混乱が待っているか良く理解しています。次に仲介業者、この会社は"音楽出版"業も行っておりますので所謂 "業界"の会社です。昨日ドワンゴ・ミュージックパブリッシング社の責任者様と電話でお話させていただいた折、"業界で管理と言えばJASRAC登録を指すのは当たり前"という見解を示されておりました。今朝、仲介業者の担当者様とも再度確認いたしましたが、やはり"楽曲の管理はするとは言ったが、 JASRAC登録するとは言っていない"とのことでした。大変な誤解です。また曖昧なやり取りで一方的に自己解釈したことを、公式のブログでコメントするのは如何なものかと思います。


今回の問題、"業界"という暗黙のルールの上でやりとりされたがために、お互いの認識が噛み合わなかったことは改善点として認識せねばなりません。また弊社及び仲介業者様の事務手続きが円滑に行われていなかったことは事実として厳重に受け止め、弊社及び仲介業者様で協議の上改善を進めて参ります。

いろいろ見苦しいやり取りをしてしまったことは、大変恥ずかしく、弊社のお客さま、ネットの皆様には大変に申し訳なく思っております。しかし、これで問題の根幹が見えて参りましたので、あとは各社協議の上しっかりとしたビジネスを構築できるように努力していきたいと思います。なお、ネガティブな話ばかりが先行しておりますが、共にCGMを志向する会社として、ドワンゴ社とは昨日の打ち合わせでもポジティブな意見交換・議論もさせていただきました。両社ともがニコニコできるような仕組みが築けたらと願っております。


■コメント欄 追記部分

こんばんは、クリプトン伊藤です。
先ほどドワンゴ社の意見の続編が出たので私の意見述べさせていただきたいのですが、新エントリに書くと目立つのと、だんだん反論するのに疲れてきましたので、このコメント欄にて手短に意見述べさせていただきます。

『1.「独占」に関する当社の見解』について
仲介業者担当者様が言うには、"最初は誰も配信してないので、30日くらいその状態が続くなら独占みたいなものですよね"的なやりとりはあったということ。とにかく全てが口頭のやりとりでドキュメントも無くいい加減です。

『3.「着うた無断配信」との主張に関する当社の見解』
何か勘違いされているようです。ドワンゴ社と仲介業者間にあるのは音楽出版権か何かの契約かと思います。しかし、「初音ミク」の名称、キャラクタを商用で用いるためには弊社からの事前の許諾契約が必要です。その許諾契約が済まないうちはキャラクタを使用してはいけないのに、事前の連絡もそこそこに唐突に配信をスタートさせ、その一方で未だクリエイター様との契約が済んでいないという弊社サイドの不手際を責めています。

先ほどもドワンゴ・ミュージックパブリッシング社の責任者と電話でお話しました。ブログで言い合っているにも関らず、案外電話でもやりとりしてます。いい加減もう泥仕合は止めて建設モードに入れるよう週末にでもまた電話してみたいと思ってます。


言及リンク クリプトン社さんとドワンゴミュージックパブリッシング社さんへ、 (ひろゆき@オープンSNS)

http://hiro.asks.jp/35254.html

 なんだ、ひろゆきは今回、当事者じゃないのか!?


■関連リンク 「初音ミク作品」騒動、ひろゆき氏が解決策を提案 (ITmedia News)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/21/news141.html


言及リンク ドワンゴJASRACの擁護をしてみる (NoisySpot/平坦日記)

http://d.hatena.ne.jp/shout_poor/20071221

出版権を音楽出版社に譲渡するか否かはひとえに作者の裁量であって、ドワンゴが誠実に契約条件を説明した上で、作者が納得して譲渡するんなら何の問題もないわけです。この点で騙されたって話は出てきてないようですし。

そもそも、JASRAC登録が悪か、さもなければ権力への屈服のように取られることが多いですが、MIDI文化が叩きつぶされた暗黒時代とは違って、今は包括契約を結んでいる大手配信サイトがあるわけですし、信託さえしておけば、少なくともそういう配信サイトでは、グレーゾーンではない自由な二次利用が認められるわけです。(インターネット以前からDTMを嗜んでる身としては、少なからぬ恨みつらみもありますが)

そういう、「管理されてるけど安全な自由さ」が得られるという理由で、JASRAC信託するという選択肢もあり得るわけです。

 JASRACかあ〜、JASRACも今のところは、ひろゆきと同じく静観だろうね。信託されたら彼らの仕事をするだけだろうし*3、信託されなければ何もしないかな。
 クリプトンの擁護が多いというのは、なんかニコニコ動画のユーザーの心境としては、ニコニコ動画がどんなに素敵空間なところであってもインフラ設備そのものに情がつくよりも、バーチャルアイドルである初音ミクの方が感情移入しやすいからなんだよねえ。どちらに非があるにせよ、ユーザーの立場だとJASRACに近いドワンゴよりも、ミクを大事にするクリプトンの方に票が集まるのは仕方のないことかもしれない。

 あと、状況からみると、ドワンゴとクリプトンの間に入っている仲介業者って、フロンティアワークスっぽいのだけど、ここからなんらかの声明が出ることはないのかなあ!? ある意味状況をややこしくしたのはこの企業なんでしょ!?
 また、YAMAHAは、Vocaloidの技術単体では商売にならないと思って、そのテクノロジーを直接コンシューマに売ることはせず、BtoBを商売のメインにしていると思うのだが、これはこういうややこしい状況になったのを見ると成功だったのだろうなあ。だから、YAMAHAもテクノロジーの侵害にまで被害が及ぶことばなければ、おいそれと声明を出すことはしないだろうね。個人的な気持ちでは、Vocaloidの技術を作ったYAMAHAが、初音ミクを『楽器』として捉えるか『人格のあるバーチャルアイドル』として捉えるかで、今後の成り行きが変わってくるので、なんらかの声明というか動きを見せて欲しいところなんだけど。クリプトン『初音ミク』の規約がある前に、YAMAHAの『Vocaloid』の規約がクリプトンを縛っているわけだしね。


言及リンク Who killed Miku?:権利商売をするということ (what's my scene? ver.7.2)

http://blog.livedoor.jp/whats_my_scene/archives/50799449.html


■どっかにあった関連絵 私は歌うだけだから

 しかし、この娘、戦ってばっかりである。(笑) なにが彼女にそこまでそうさせるのか!?


■関連リンク 『みくみく』JASRAC登録についての謝罪の矢先、楽曲を無許可で着うた配信していた疑惑が浮上 (CNET Japan) (再掲)

http://japan.cnet.com/blog/arasuji/2007/12/20/entry_25003210/


■関連リンク 「みくみく」JASRAC登録問題で、クリプトンとドワンゴの双方がコメント (Internet Watch) (再掲)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/21/17971.html


■関連リンク みくみく〜着うた問題、ドワンゴ子会社とクリプトンそれぞれの見解 (ASCII)

http://ascii.jp/elem/000/000/094/94963/index-2.html


■関連リンク クリプトン・ドワンゴ争議の理解 (さぼり記)

http://d.hatena.ne.jp/azuki-glg/20071221/1198251396/

 丁寧な状況説明、出版業界の慣例を例に比較してとても分かりやすい。

ただ、この事例は「今後、リスナー・ユーザー・視聴者・読者という消費者群の中から、潜在的な次のクリエイター/楽曲制作者が出る可能性がある」ということを考えれば、非常に下手を打っていると思う。

今次の数人の作者だけが才能を持ち、今後も彼らだけがヒットを飛ばし続けるということであれば、彼らだけを囲い込めば済んだかもしれない。

が、「不特定の匿名のアマチュア」の中から才能が芽吹いた、というのが今次のヒット作の発掘に繋がっているわけで、今回の不手際は潜在的な将来の楽曲提供者に疑惑や不信感を植え付けることに繋がりかねない。というか繋がってる。

発言責任者の実名を明かして発言しているクリプトン伊藤社長と、あくまで「ドワンゴとして」という立場で発言責任者(つまり、対応窓口となった実務当事者)を明かさないままに反論しているドワンゴ側(sらに言うとドワンゴ側は炎上の可能性を危惧して、TB/コメントのできないニコニュースに掲載、クリプトン側は炎上の可能性も覚悟してかTB/コメントのできる開発元ブログに掲載。リスクはもちろんクリプトン側のほうが大きいのだが(でも工作したらIPでばれちゃうので亞北ネル発生の可能性は低いでしょうw)、発言の信用性(発言責任者の責任担保)という点で言えば、クリプトン伊藤社長のほうを応援したくなる気持ちもなくはない。

「顔の見えない攻撃」というのは2ちゃんねるニコニコ動画なんかでは横行していることだけど、こと契約や信用を商する企業がそれやっちゃうのはいかがなものか。

ただ、方向性としてドワンゴはクリプトンを切り捨てたいのか手打ちにして提携したいのかが、よくわからない。

クリプトンは自社でピアプロなど、ニコ動と競合する動きを持っているわけで、ニワンゴドワンゴ)的には初音ミク関連作品はこれまで通りニコニコ動画に集中投下されるほうが(真っ白なコンテンツという意味では)嬉しいはずだ。

そうなると、クリプトンと提携関係を結ぶか、クリプトンのピアプロはコケてくれたほうが都合がいい。

が、JASRAC登録など業界的にはクリプトンの対応は嬉しくない。

クリプトンを厭うか、手を組むか。

 今までWin-Winの関係だったのに、その関係が崩れれば、一気に状況が変わるかもしれない。双方ともビジネスとして続けたければ、大人の対応としてどこかで手打ちをするしかないと思うのだが……。また、ユーザーとしてはピアプロの可能性にも期待したいが、初音ミクのコンテンツがピアプロ内だけで完結してしまったら、外に開かれた可能性が一気に収束してしまう。ニコニコ動画初音ミクも本質的には一蓮托生の関係なのだから、うまい具合に手打ちをして欲しい。


■関連リンク みっくみくJASRAC (vestigialの日記)

http://d.hatena.ne.jp/vestigial/20071221

現在のみんなの気持ちを推測すると

ドワンゴ
着うたにしたいけど著作権関係めんどくさい。JASCRACに頼むしかないなぁ。でもユーザーに嫌われるのは最悪。

JASRAC
自分たちの仕事だから申請されたらいつもどおりに金集めの作業ならするぞ。

ユーザー
JASRACに頼んだらみっくみくが自由に使えなくなるに決まっている!ドワンゴ何やってんだ!

クリプトン
アーティスト:初音ミクはダメ。初音ミクを使ったアーティストが出てきたらうれしい。今回の件には明らかに不快感。
(現時点では一番立ち位置がはっきりしている。)

作者
知らん間に着うた配信されていた。

な状況だと思う。
今回の事件の根底にあることはJASRACへの不信感。
JASRACがフェアに著作権管理業務を行っていればとうとう初音ミクもメジャーになったなあで終わった話。
だがまだJASRACは何もしていないので現時点でJASRAC叩きはただのバッシング。まだちょっと待て。
今自分が一番気になっているのは、絶妙な運営でニコニコ動画をここまで盛り上げてきたドワンゴがなぜこんな下手な手を打ったかということ。

 ひとことで言うとこういう状況なんだろうねえ。JASRACは私も叩きたいのだけど、この件に関してはまだ動きが無いので我慢我慢。(笑)

あと、言い訳も非常にまずい。手違いだっただのだいぶ時間がたっていたから急に配信を始めた。だの初音ミクの派生作品を制限はしないとか言ってるけど、まるでAVEXの言い訳のようだ。

 ドワンゴの子会社というか、事業部ごとの分社化でニコニコ動画(ニコニコ事業部)をメインに扱っている部門がニワンゴ株式会社(出資比率75%)。(グループ会社一覧)(組織図) さらにそのドワンゴ筆頭株主avex(エイベックス・グループ・ホールディングス)なわけで、実はそのドワンゴの理論はavexに影響されずにはおれないんじゃないかなあ。(エイベックスがドワンゴ筆頭株主に) ドワンゴは「巫女巫女ナース」をCMに使うようなNetと比較的親和性の高い会社だけど、逆にavexは「のまネコ」問題などでNetに比較的嫌われている会社であることは、会社の上下関係のバックグラウンドとしては結構おもしろいかもしれない。

 ドワンゴが3月15日払い込みで行う総額102億4610万4400円の第三者割当増資をエイベックスが引き受ける。増資後、エイベックスの保有比率は20.30%となり、ドワンゴはエイベックスの持ち分法適用会社になる。


■まとめリンク 初音ミク「みくみくにしてあげる♪」ドワンゴによるJASRAC登録申請&楽曲無許可着うた配信問題 まとめリンク (uranaka.net)

http://uranaka.net/article/73649930.html


■まとめリンク [2ch] 「みくみくにしてあげる」がJASRACに登録された件続き4 (覚え書きオブジイヤー)

http://d.hatena.ne.jp/colorred/20071221/miku2


■関連動画 初音ミクJASRAC事件を扱った動画がいくつも公開される (にゅーあきばどっとこむ)

http://www.new-akiba.com/archives/2007/12/jasrac_8.html


■関連動画 言葉にできない ドワンゴ初音ミク騒動編 (ニコニコ動画)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1834722


■関連動画 【初音ミクドワンゴの陰謀 -JASRAC登録‐ みくみくにしてあげる (ニコニコ動画)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1840297


■参考リンク MOSAIC.WAVについて (Sham.Studio.)

http://www.sham.jp/studio/faq.shtml

 MOSAIC.WAVの独自にカラオケの楽曲を管理していることは、もっと参考にされてもいいと思うんだ。

*1:もちろん、ニワンゴの人がこれを書いているのかもしれないが、「文責名」が書かれていないので、あくまでドワンゴ社員が書いたという判断になってしまう。

*2:この場合、作曲者達が育ての親かな

*3:その仕事がちゃんと明朗会計になされているかが疑問なんだが、今はまだその段階までには至っていないというところか。