caprinのミク廃更生日記

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JASRACと独占禁止法 (memorandum)

http://d.hatena.ne.jp/bn2islander/20070215/1171545696

なんだかトートロジーのように思えなくもないが、文化庁長官の認可を受けた以上、独占禁止法上における不公正な取引とは認められないという判決なんでしょうね。知財高裁で、JASRACの使用料規程が独占禁止法に反しないと判断された以上、同種の裁判は起こしにくくなるだろうし、公正取引委員会JASRACの使用料規程に関しては文句をつけにくい状況な訳でしょうか。

 文化庁天下り先はJASRAC。仲良しこよしでいいこった。

被告の主張は、JASRACに反感、不満、批判的な意見を持つ方々なら一度は胸に抱いた主張であるとは思うけど、これも裁判官に無下に否定されてしまっている様である。被告側が「JASRACは自分の巨大さを頼みに、不公平であり不利益な契約を結ばせようとしている。これは独占禁止法に抵触するだろう」と、ほとんど悲鳴に近いような主張をぶつけているのであるが、裁判官は冷静に「JASRACは権利者から権利を委託されている。また、法に基づいた使用料規程を根拠に使用者に支払いを求めている。これは法律に則った行為である」と言っている。

以上、2つの判決を紹介した。個人的な感想としては、独占禁止法JASRACを追いつめるのは、この2つの判例がある以上、現行法上では無理のように思う。ただ、最高裁ではどうなるか分からないので、訴訟を起こす価値はあると思いますが。


◆参考リンク 「文化庁からJASRACへの天下り」は全面禁止にすべき (中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル - CNET Japan)

 ただし、そういった個別の議論をする前に、まず最初に絶対にしておかなければならないことが一つだけある。「文化庁からJASRACへの天下り」を今後一切禁止し、現状の天下り役人の方々には、ある程度の猶予期間の後すみやかに退任していただくことだ。

 ようやく独占禁止法上問題があるとの裁判所の判断が出て、他の著作権管理団体も出来始めたところだが、現状「JASRACが事実上市場を独占している」ことは疑いのない事実である。そんな状態において、監督官庁である文化庁の役人が、管理される側のJASRAC天下りし、一般常識から見ても際立って高い給料をもらい続けているという構造は、明らかな「Conflict of interest状態(=『国民の利害』と『役人個人の利害』が衝突している状態)」であり、うまく行くはずがない。

 この手の問題になると、これをモラルの問題にすり替える人がいるが、それは大きな間違いである。人間とはそもそも誰もがとても弱く、99.9%の人は、「自分が天下りすることが出来るかも知れない団体」「自分が世話になった先輩のいる団体」にオオナタを振るうことなどできない。そんな状況に文化庁の役人を置いたまま、「ネット時代にふさわしい著作権管理の手法を考えろ」「JASRACを改革しろ」と命じたところで絶対に無理である。


◆参考リンク 「JASRACが横暴な取り立て」は「真実との証明なし」 ダイヤモンド社に賠償命令 (ITmedia News)

 「週刊ダイヤモンド」に掲載された記事で名誉が傷つけられたとして、日本音楽著作権協会JASRAC)がダイヤモンド社と記者に対し損害賠償を求めていた訴訟の判決があり、東京地裁加藤謙一裁判長)は2月13日、「記事の内容は真実であることの証明がなく、また真実であると信じる理由も見当たらない」としてJASRAC側の主張を認め、550万円の支払いを命じた。

 記事は、2005年9月17日号に掲載された「企業レポート 日本音楽著作権協会ジャスラック)」(記事PDFへのリンク)。楽曲使用料徴収業務についての「横暴な取り立て」といった表現や、使用料の分配基準などについて「不透明」「あいまい」とした点について、JASRAC側は名誉毀損(きそん)に当たると主張。4290万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めていた。

 判決はJASRAC側の主張を認めた上で、「原告(JASRAC)の名誉を毀損してその社会的評価を低下させるものであり、記事の内容が真実であることの証明がなく、意見・論評としても、その重要な前提について真実との証明がない」と指摘。「取材や判断にかなりの偏りが感じられ、取材・判断や意見・論評が正しいと信じる理由も見当たらない」として、記事による名誉毀損を認めた。JASRACが求めていた謝罪広告の掲載は認めなかった。


◆参考リンク JASRAC 著作物利用者逮捕問題 (ビートルズ・ハーモニカ演奏逮捕事件) 分析

JASRAC監督官庁文化庁である。JASRAC文化庁のいわゆる主たる天下り先で、公正な対処が利きにくい状況にあると言わざるを得ない。事実、現在のJASRAC使用料規程は、一般の公共料金などの設定に比較して利用者に理不尽な内容が随所に見受けられる。現使用料規程内容を確認するところ、文化庁は利用者の立場を考慮した上で公平なチェックを成してきたとは到底言い難い。こうした環境背景を推測するにあたっての事例として以下は重大である。

文化庁は、JASRAC現使用料規程レコード演奏使用料承認において、1971年に自らが参加して妥結を見たはずの一般に判断しても十分妥当とおぼしき内容(欧米基準との比較)を、1987年の規程改正に伴いJASRACが一方的に覆し、一般公共にかんがみてあり得ない高額値上げを断行したプロセスの全体像を把握していながら、これを認可しているのである。

表Fが1972年の事実であり、 表EはJASRACが公表している1987年の改正へのプロセスである。明らかにJASRACは表Fの交渉妥結の事実を隠蔽していることが分かる。こうした実績がある以上、このビートルズ逮捕事件に於いても、演奏権徴収でのJASRAC独占状況に於ける利用者の不当拘束を除外するための機能Aに基づく効力は、この場合十分働かない状況にあった可能性は考慮されなければならない。

 各裁判の詳細がリンクされていて参考になる。