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「経緯は知らぬ」「言い逃れだ」・コピー補償金問題、10日再開の審議は大荒れ (IT-PLUS)

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba000010072008

 10日に2カ月ぶりに開かれた小委員会では冒頭、文化庁案について前回会合で寄せられた質問に文化庁著作権課著作物流通室長の川瀬真氏が回答。機器メーカー側や消費者団体らが「制度が縮小する筋道が見えない」「パソコンなど汎用機にも今後対象が拡大しかねない」などと指摘していることについて、拡大にはあたらない、とあらためて説明し、文化庁案の実現に向け理解を求めた。

 これに対し機器メーカーの業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)は「補償金制度の論点についてのJEITAの見解」と題する資料を配布し、具体的な論点を挙げて反対意見を表明した。JEITAの長谷川英一常務理事、亀井正博著作権専門委員長は「技術的に権利が保護されたコンテンツに補償金をかけることは二重課金」「機器の機能は多様化するので対象機器拡大の懸念は残る」「ハードディスク内蔵型機器の多くはタイムシフト・プレイスシフトに使われるため対象機器とすべきでない」「レンタルCDからのコピーは事業者や消費者との契約で対価を徴収すべき」などと述べた。論点は従来からの主張の繰り返しだが、独自に実施した消費者へのアンケート結果を紹介し「消費者のほとんどは補償が必要となるような使い方をしていない」と訴えた。

 日本映画制作者連盟の華頂尚隆事務局次長は「補償金をなくせというのならばダビング10を解消してコピーネバーにするしかない」と訴えた。「公共性の強い放送はともかく、映画は本来保存されてはいけないものだ。ブルーレイ・ディスクはダビング10開始で売り上げを伸ばしているようだが権利者には一文も払わないというのはおかしい」と語気を強めた。一方、JEITAの亀井氏は「メーカーの役割はよい視聴環境を整えて(コンテンツを)社会に広めること。利益はその見返りだ」と反論。メーカーと権利者の議論の応酬に、主婦連合会の河村真紀子副常任委員は「補償金は本来、権利者の遺失利益を補うものだったはずなのに、利益の取り合いの議論に終始している」とクギを刺した。

 コピーネバーを出来るもんならやってみろよ。映画やドラマが保存されるのが嫌なら作るな、放送するな。ライブのみのミュージカルとか、舞台だけやってろ。

 このあとも権利者側からはJEITA側へ「2年前の態度に戻ってしまったのはなぜか」「我慢してきたが、これでは権利者の不満を抑えきれない」などの意見が次々と飛び出したが、予定時間を超過し、ひとまず委員会は終了となった。

 文化庁の川瀬室長は「来年1月までには議論をまとめたい。ただ、きょうの議論で、メーカー側も権利者側もこの場でまとめる意思があるのか、ということから確認する必要が出てきた。文化庁の調整能力がないといわれればそれまでだが・・・」と困惑を隠せない様子だった。次回の議論は「秋には開かないと間に合わない」(川瀬室長)というが、見通しは立っていない。

 いや、本当に不満があれば本物の権利者が暴動を起こせばいいと思うよ。今までこの小委員会などをウォッチしてきたが、聞こえるのはお前ら利権者の不満ばかりで、クリエイターの声はまったく聞いていない。ハリウッドでもストライキがあったんだから、出来るんだったら日本でもやればいいんだよ。クリエイターが一枚岩じゃないにしても、TV業界、レコード業界、出版業界などの放送や流通させている人間の方が実際にモノを作っている人間よりも遥かに偉いという状況はクリエイターの怠慢が作り出したものでもあるんだぞ。権利を勝ち取るためには、個人的には死人が出るくらいまで、とことんやって欲しい。(あくまで比喩ですよ。お互い死ぬ気でやって欲しいということ。) ちゃぶ台返しぐらいじゃ、生ぬるい。
 あと、補償金を推していた文化庁もとことん付き合う覚悟を決めろ。「メーカー側も権利者側もこの場でまとめる意思があるのか!?」という話じゃない、あなた達官僚がこれをまとめるための会じゃないのか!?


■関連リンク 著作権の議論がなぜ腑に落ちないかを今度は白田先生の話から考えてみる (Tech-On!)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20071217/144286/?P=1

 ちょっと前のテキストなんだけど、今回の振り出しに戻った経緯を考えるには良い材料なので、ちょっと多めに引用してみる。

□白田氏のお話し

例えば19世紀,写真やレコード,映画といった新しい技術が生まれました。こうした技術が生んだ新しいメディアは,既存メディアの市場の一部を奪いながら新しい市場を開拓していきました。そのとき既存メディアは,最初は静観しているのですが,いざ新メディアが成長して自分たちのビジネスを侵すようになって初めて「我々の資産でビジネスをしているのだから分け前をよこせ」と交渉したり,裁判を起こしたりする。そこで市場取引に基づく経済学的な調整が最初に発生し,それでも解消しない場合に初めて価値判断に基づく法的な調整が行われる。このパターンを繰り返してきたのです。

 例えば,私的録音録画補償金制度について議論している文化庁の「私的録音録画小委員会」。この委員会の議論ではしばしば,直感的には理解しがたい不思議な発言が,おもに権利者側から飛び出す。

 11月27日に行われた第14回の会合では,日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センターの椎名和夫氏から,「総体で不利益を被っていると思う権利者がいて,利益を被っている消費者とメーカーがいる。メーカーの利益を還元するという制度が必要ではないか」という趣旨の発言があった。同様の発言は,日本レコード協会専務理事の生野秀年氏や日本映画製作者連盟の華頂尚隆氏からもあった。何度もこの委員会を傍聴するとわかるが,こうした発言が出るのは今回に限らない。ほとんど毎回と言ってよい。

補償金を支払う主体はあくまでユーザーである。ところが権利者サイドからはしばしば上記のような「補償金制度でメーカーの利益を権利者に還元すべきだ」という意見が出てくる。なぜだろうか。確かに現行の制度では,補償金を機器や媒体の価格に上乗せしてメーカーが徴収し,著作権団体に再分配するしくみになっているが,それはあくまで徴収を簡単に行うための便宜的な手段という位置付けだ。本来的な意味では,メーカーは補償金制度と関係ない。

 ここで白田氏の説明を思い出してみよう。新技術で生まれた新しいメディアはまず,既存メディアの一部を奪いながら成長し,新しい市場を開拓していく。分かりやすく言い換えると,既存メディアの資産にただ乗り(フリーライド)してビジネスを始める。市場が十分に発展した後で既存メディアとの調整が起きる。白田氏によると,比較的最近の例ではラジオがそうらしい。ラジオ放送が米国で始まった当初,ラジオ局は一切の著作権料を支払わずにレコードなどを放送に使っていたが,ラジオ局のビジネスが発展する過程で調整が起き,今のように著作権料を支払うシステムが出来上がったという。

 ここから先は私が白田氏の話を聞いて考えたことである。白田氏がそう話したわけではないので念のため。ひょっとして権利者はメーカーが製造する録音録画機器を,「自分たちの資産にただ乗りする新メディア」と見なしているのではないだろうか。法律的な建前はともかく,メーカーに対して「我々の資産でビジネスをしているのだから分け前をよこせ」と言っている。少なくともそう考えると,権利者サイドから「メーカーの利益を権利者に還元すべき」という趣旨の意見がしばしば飛び出す理由が,腑に落ちるのである。

 私的録音録画小委員会第14回の会合では,委員の一人である主婦連の河村真紀子氏などから「そもそも自分で買ったCDを私的録音する行為のどこに侵害があるのかが理解できない」といった趣旨の反対意見が出された。河村氏はこの委員会で一貫して「消費者の立場から感じる制度への違和感」を訴えており,この種の発言を行うのは初めてではない。今回の河村氏の発言に説得力があったのは,その直前に締め切られた「中間整理」に対する意見募集に約7500もの意見(大半が反対意見)が集まったからだ。

 正直に言って,年内残り2回(次回は12月18日)になった私的録音録画小委員会で,こうした議論が改めて展開される可能性は低いだろう。私的録音録画補償金制度はそもそも,著作者の財産権をユーザーが侵害しているという前提で組み立てられているからだ。この前提をあきらめ,権利の侵害者はユーザーではなくメーカーである,と立論した瞬間に制度自体が根本から崩れてしまう。だからこそ,たかだか支払い義務者を変更するために,「どちらの場合でも製造業者等は補償金管理協会に対して金銭債務を負っている」とか「利用者の支払い義務は形式的・観念的なものに過ぎない」(中間整理の136ページ)といったいかにも回りくどい論理を持ち出して乗り切ろうとしているのだ。

 法律的な建前にせよ,ユーザーがこの問題の当事者であるという事実は,この閉塞状況の突破口になる可能性がある。本来なら業界間の利害調整に過ぎないこの問題に,ユーザーが堂々と口を挟める口実になるからだ。

 例えば,支払い義務者をユーザーからメーカーに変更することで,現行制度で用意されていた「補償金の返還制度」が機能しなくなる。新たな返還制度抜きでこの制度変更を強行し,ユーザーがこれまで持っていた権利を奪うことは「憲法違反になる」。これは委員の一人である青山学院大学教授松田政行氏が小委員会の第11回で指摘している重大な問題だが,中間整理の137ページにある記述ではほとんど触れられていない(第11回の議事録)。こうした瑕疵を丹念に突くことで,「私的録音録画によるユーザーの権利侵害」という建前を崩していけるかもしれない。


■関連リンク 補償金はアーティストにいくら、どう渡る・管理団体に聞く (IT-PLUS)

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITbf000003072008

 私的録音録画補償金制度は、著作物の「私的利用」を認めつつもアーティストへの一定の対価を補うための仕組みとして1993年に施行された。コピー技術が高度になるにつれ「自由なコピーが権利者の利益を奪っているのではないか」との声が高まり、権利団体が十数年もの間、文化庁に要望を続けて実現した。上野氏は「本来、著作権はすべての著作物の複製に適用されるべきもの。家庭内の私的利用だけが例外として認められてきたが、そこで生まれる『機会ロス』を還元するための仕組みだ」と意義を強調する。

 補償金の金額はどのように決まっているのだろうか。

 補償金の対象機器は政令で決められたMD、DVDレコーダーなどのハードウエアとそれらに使う記録メディア。補償金は原則、録音の場合「機器のカタログ価格の65%の金額の2%、記録メディアは同50%の金額の3%」、映像の場合「機器のカタログ価格の65%の金額の1%、記録メディアは同50%の金額の1%」、いずれも上限は1000円となっている。例えば8万円のDVDレコーダーでは520円が補償金という計算になる。

 直近のデータを見ると、2006年度出荷分の補償金徴収額の合計は27億9902万円。そのうち録音については11億5402万円で、ピークだった 2000年の40億円の3分の1以下。録画は16億4500万円で、ピークは2005年の21億円だった。どちらも前年度比で2割以上落ち込んでいる。

 録音の補償金額が急激に減っているのは、MDの時代が終わって出荷が減少する一方で、製品の主流が補償金の対象外である「iPod」などのハードディスクやフラッシュメモリー記録型の機器に世代交代したことが大きい。MDは台数の減少に加えて、記録媒体の価格下落も響いているようだ。

 MDやDVDが儲からなくなってきたので、iPodBlu-rayにタカりたいんですね、分かります。

 具体的にアーティストにはどれぐらい補償金が還元されているのだろうか。

 上野氏は「具体的なアーティスト名は公表できないが…」としながらも「多いところでは年間何百万円。少ない人は数十円になるので、管理団体によっては切手の形で郵送するなどしている」と大まかな数字を明かす。

 実際アーティストの手に届く金額は、アーティストと事務所の間の契約によって様々だという。アーティスト本人が事務所の社長であれば全額本人が受け取るともいえるが、大きな事務所の多くは月給制をとっており、補償金として本人に手渡されることはなさそうだ。

 「『知り合いのアーティストは補償金など受け取ったことがないと言っている』などと、この仕組みを怪しむ人もいるようだが、かなり緻密に配分しているので、少しでも売り上げがあれば少なくとも事務所には届いているはずだ。JASRAC以外の著作権管理団体やインディーズ系などにも配分されている。ただ、どの団体にも所属していない人にはもちろん配布されないが…」(上野氏)。

 例えばJASRACによると、前年度に補償金の配分対象とした楽曲数は約41万9000作品に上り、アーティストをマネジメントする音楽出版社などに明細を付けて配分しているという。ただ「そこから先、アーティストにどのような形で渡っているかまではわかりません」(JASRAC)というのが実体のようだが、少なくとも「アーティスト側」には細かく配分されているようだ。

 権利者サイドにはまだ承服しかねる人も多いものの、この補償金制度は長期的には縮小の方向で議論が進められている。しかし「補償金に代わるクリエーターへの対価」の姿が見えないままダビング10など新しい枠組みで外堀を埋められていくことに権利者側は不安を募らせる。

 海外では欧州を中心に20カ国以上が何らかの形で補償金制度を取り入れている。iPodを課金対象としたり補償金の料率を高く設定したりしているフランスやドイツの徴収額は日本より1ケタ多い200億円規模。米国も同様の制度を導入しているがiPodには課金していない。課金の対象範囲などについては各国でも議論されているようだ。

 「メーカー側が言うように、家庭内のダビングをすべて技術的に把握できれば、補償金は不要になるかもしれない。しかしそれは家庭内のフェアユースを認めないということにつながる。補償金はフェアユースを認めるユーザーフレンドリーな仕組みなのだが…」(上野氏)。

 ダビング10の決着で小康状態にあった補償金のあり方を巡る議論は、10日の文化審議会で議論が再開する。そもそも、JASRAC著作権使用料徴収額が1156億円(2007年度)であることに比べ、30億円に満たない補償金制度は本来、とても「ささいな話」(権利者側関係者)でしかない。しかしそこにはアーティストへの対価という難題が凝縮された形で反映され、図らずも注目を集めている。


■関連リンク 米国著作権法における「フェア・ユース」の考え方について (ITmedia オルタナティブ・ブログ - 栗原潔のテクノロジー時評Ver2)

http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2007/03/post_3943.html

「フェア・ユース」の法理なんて認めたら、消費者の違法コピーを助長するだけではと思われるかもしれませんが、「フェア・ユース」の考え方がないということは企業側にとっても不都合な場合があります。

たとえば、日本の著作権法の解釈では、サーチエンジンがWebコンテンツのキャッシュを作成することは複製とされています。当然ながら、私的複製でも引用目的でもないですから、文言通り解釈すれば、サーチエンジン企業はWebコンテンツ制作者の著作権を侵害していることになります(「黙示許諾」があるのでOKではという説あり)。なので、日本のサーチエンジン企業は米国にサーバを置いて、侵害を回避しているようです(米国では、グーグルと某作家の間の裁判の結果、サーチエンジンがキャッシュにコピーするのは「フェア・ユース」との判例がありますので大丈夫なわけです)。

さすがにこれはまずいので、検索業者のキャッシュへの複製は許諾がなくてもOKとする著作権法の改正の動きがありますが、今年中に検討を行うというレベルでスピード的にはまったく現状に追いつけていません。さらに言えば、著作権侵害の刑事犯罪では属地主義ではなく属人主義が適用されるので、日本人が複製を行う限り米国にサーバをおいても著作権侵害の刑事責任は回避できないのではという説もあったりする(やはり「黙示許諾」でOKだという説もあり)ので、現状ではサーチエンジン企業に勤務する日本国籍社員のみなさんは、懲役10年以下(本年 7月の著作権法改正以降)に相当する重大な刑事犯罪を犯している可能性があるわけです(皮肉として書いてますので念のため)。

まー、こういう明らかにおかしな状況を防ぐためにも、日本の著作権制度においても何らかの形で「フェア・ユース」的な考え方を取り込むことは重要ではと思うわけです。


■参考リンク 「資料1 私的録音録画に関する制度設計について」に対する映画の著作権者としての意見 (文部科学省)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07062817/009.htm