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こうした誤解が生じるのは、日本側でも「宿敵日本国粋主義者」とやらで石原慎太郎をなにかといえばバッシングする勢力がいて、今回の問題は石原氏が寝た子を起こしたからいけないみたいなトホホな議論もあったからだろう。これは珍妙な話で、同島は最初から日本人が所有しており日本国の領有権に含まれている。だから、私的なセクターで売買は可能だし、石原氏であろうが都であろうが、国家が関与しない民間での商取引でしかない。逆に、ここに国が関与してしまえば問題が大きくなるのだから、寝た子を起こすな論でいうなら、悪いのは野田首相になるのだが、あまりそういう指摘がないあたりが日本の議論の香ばしいところだ。
実際のところ、今回の野田政権による同島の国営化だが、普通に考えたら柳条湖事件記念のこの時期(参照)にやるのはマヌケの極みみたいなもので、いくらマヌケな民主党政権とはいえそこまでマヌケということはないのだから、これには意図があったと見てよく、当然ながら、私的セクターから国家セクターに動かせば中国のメンツを潰すことになるのは想定されていた、にもかかわらず、なんでやったのかメリットが問われることになる。