Nanaアニメ版見た - caprinのミク廃更生日記

　なんかTVをつけたらやっていたので最初の1回目を見ることが出来た。自分は原作を知らないのでこれからどう展開するのか分からないが、昔あったキラキラ・キャピキャピした見ているこっちの方が恥ずかしくなる少女漫画にノスタルジーを感じる自分としては、これを恋愛を基調とした従来の少女漫画の感覚で見るのはヲタクでも正直かなりしんどいと思った。要は、これは少女漫画とレディコミの間に存在する漫画であり、『ご近所物語』ほどアートっぽくはなっていないけど、決して純粋な少女漫画というわけではないような気がする。(まあ、私個人の見解では女子の大人への早熟化・男性化により、ピュアな少女漫画というのは、絶滅危惧種扱いになっているのだけど。)

　アニメ単体として見た場合には作画の崩れなどほとんどなく、原作ファンには漫画の絵との違和感があるのだろうが、アニメ絵自体はこれはこれで安定しており、その点はこれからも不安は感じない。まず、もともとのコミックに絶大な支持があり、実写映画もヒットしてからの満を持してのアニメ版登場だから、アニメ版『Beck』みたいに途中で作画が落ちることはまずないだろう。(恐らく制作費からして違うだろうが) ストーリーも多分おもしろくなるだろうという予感はある。でも、そのキャラクターの味付けというのか、この世界観・道徳観を良しとするには、どうにもこうにもおっさんヲタクには受け入れがたいところがあった。

　例えば、

・ヲタクは人が混んでいる場所でギターを置いて席取りをしている女は嫌いだ。(それがわざとかそうでないかはともかく)
・ヲタクは喫煙席であろうと人に断りなくタバコを吸い始める女は嫌いだ。(それが単にそういう描写を省いてあったとか、あとで「うん、煙たかった！？」という配慮を見せたとしてもだ。普通そういうエチケットは吸う前にすることだ。)
・そういう一連の不作法をすべて受け入れ(または気にせず)、ナナを「カッコイイ」という言葉ひとつで全肯定する女(奈々)は嫌いだ。(まあ、これは単純にモデルみたいでカッコイイと思った憧れみたいなものなのだろうけど。しかし、やっている作法は決して褒められたものでもなく、カッコよくない。)
・新幹線の席内で普通に携帯で通話する女は嫌いだ。(これは言うまでもないエチケットだ。これに対してナナは怒るのかと思ったけど、普通にスルーした。よって、これは彼女らの共通意識の中では許される行動であるのだろう。)
・すでに成人とはいえ、いきなり新幹線内で乾杯・酒盛りする妙齢の女子は嫌いだ。(そんなことをするのは集団遠足のおばちゃんだけであって欲しい。もちろん男でもネクタイをはずし、靴下を脱いで、酔っ払うみたいな、自室の延長の感覚であまり羽目をはずすのは困るのだが。)
・大学生の分際でアルファロメオに乗る奴が嫌いだ。(むしろ、ベンツとかBMWの方が許せる。作者の女性的価値観でお洒落っぽいアルファロメオが出てきたのだろうか！？あ、これは単にお金持ちへのひがみっス…。)
・上京一日目から男のところに転がり込む女が嫌いだ。(ま、転がりこまないと物語が進まないのだけど、お前は大志を抱いて上京してきたのか、それとも単に男に会いに来たのか、どっちやねんっ！！と言いたい。)
・東京という狭い土地に5万円という破格の値段で住んでいる女は嫌いだ。(あ、これも単にひがみだ。つうか、いくら建物が古かろうが、2LK！？ぐらいのあんな広い部屋にあんな豪華なバス付で5万じゃ、今の東京では絶対ありえないと思う。)

　こんなところか。突っ込んで楽しむという意味では1話目だけで、こんなに楽しめると思わなかった。そりゃ結局はご都合主義の漫画だし、少年漫画にも『特攻の拓』などの変なヤンキー漫画とか、『デスノート』みたいな少年漫画にふさわしくない、本来の少年向けという意味で道理に外れる作品はいっぱいあるのだけど、この漫画が少女漫画の中でも特に中高生に絶賛をあびているもんだからその影響力によりちょっと気になったりした。ま、トレンディドラマと思えば問題無いのかなあ。つまり、彼女達の生活や行動が『彼氏彼女の事情』みたいにあり得ない登場人物ばっかりだったら、それはそれでファンタジーとして受け入れてしまえるのだが、とりまく粉飾は豪華だが、実のところオーソドックスな立身出世上京漫画というなんか中途半端なリアルさから、その行動はより鼻についてしまう。あと気持ち悪いのは、やっぱり二人の百合っぷりかなあ…あれも『マリみて』のスール制度みたいなファンタジーになってしまうとヲタクはさくっと許してしまうのだが、リアルがすぎるとちょっと嫌な感じだ。(これを友情ではなく、そっち方面に持っていくこっちの思考が問題なんだけど。これは、『スラムダンク』の友情に妄想する腐女子と反対のパターン。)

　まあ、原作を忠実にトレースしてあるのであれば、別にアニメ製作スタッフをけなしているわけではないし、実際のところ良い仕事をしていると思う。また、1話目を見ただけで『Nana』という作品を辱めるつもりもまったくない。単に原作などの予備知識無しで見たヲタクが、なんで『Nana』がここまで女子に支持されるのか興味があって見たら、思いのほか突っ込みどころが多かったというだけのことなので、ファンの人は本気で怒らないでね。それに自分もなんだかんだいってまた見てしまう可能性が高いわけで…。(これが夕方6時の作品なら見る機会は無かっただろう。)

　ただ、私が正統系少女漫画と考える『ハツカレ』みたいに、主人公の赤面に、自分も「うわ〜」と恥ずかしくなって、床をゴロゴロ転がるような少女漫画特有のカタルシスはどうやらこの作品では得られそうにない。それだけはよく分かった。

・公式HP NANA―ナナ―

http://www.ntv.co.jp/nana/