【正論】藤原正彦 若い君への年賀状 (イザ!)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/seiron/34073/
表層上の捉え方ばかりで、いちいち何かがおかしく反論する気もうせる。というか、年賀状という割にはアクが強いので若者としては素直に聞きにくい内容だ。(笑) でも、本当に日本は治安が悪くなったのか!? それはないと思う。いじめは今になって増えた!? それもないと思う。
ま、それでも国家を憂える気持ちは大事かな。ただ、「奮い立て!!」というのも「テレビばかり見ないで本を読め!!」というのも一般論としては正しくても今の若い子はまあこまっしゃくれているから、細部だけを見て「ここはこう間違っている」という理由で素直に聞きはしないだろうな。
・改変コピペリンク 若い人たちへの年賀状(を勝手に改訂) (深町秋生の新人日記)
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20070111
改変版。非常に面白いと思う。しかし、書いている本人はある程度、ネタ的な反論としてコピペを作っていると思うのだが、このコピペに「おっしゃるとおり!!」とか老人のご高説に怒りを覚えた若者が溜飲を下げるだけで終わるのはもったいないと思う。
どちらの言い分にも正しいところがあり、自分の中でどれだけそれらをバランスよく取り入れるかだ。しかし、この藤原氏は数学者であり、アメリカやイギリスの大学でも教鞭を執り、もともと超アメリカかぶれだったのがめぐり回って今一度日本を見直そうとして『国家の品格』という本を書いたというバックグランドくらいは、これの議論をする前提としてはみんなが知っていても良いかなと思う。数学者ゆえにもともと日本の現状認識は甘いとか。(笑) この人を経済学者かなんかと勘違いして、昔からこういうことばっかり言っていると思っている人も多いと思うんだよなあ。
あと、昔からイジメはあったのだからといって今のイジメが正当化されるものではないし、昔から売春はあったのだからといって今の援助交際が許されるという問題ではないだろう。グローバルな視点から見れば、他先進諸国と比べて日本だけAIDS感染者が突出して増えているとかいうのは、やっぱり今の日本の性の乱れに原因があるのだろうし、品格とまでは大げさに言わないが品が無い奴が多いというのはまあそうなんだろう。若者でも老人でも実際には「今の世の中を良くしていこう」という点では共通認識を持てるはずなんだけど、なんか論点の初期の段階でかなりすれ違ってしまうねえ……。どうも今の時代、問題の切り口が異なれば違った見方が出来るものに対して、他方に説得力を持たせた話をみんな期待しすぎなんじゃなかろうか!?(先のAIDSの話だって、別にSEXだけで感染するわけではないと言われたら、そりゃその通りなんだが……となってしまう) 根拠のない自信だけでもいけないが、「もう日本は駄目だ」と極端に日本を卑下するだけではいけないという点ではこの藤原氏と若者にも共通認識が持てると思いたい。
しかし、本を読んでいないのに『美しい国』の「美しい」だけに反応して安倍首相に反論するように、『国家の品格』を読んでいないのに「日本の品格」を語るのには無理があるかもしれない。ちゃんとした反論をするには相手のことも知っておく必要はあるね。
・関連リンク [イジメ] 藤原正彦の脳内ヒストリーによると1980年代にはいじめ自殺はほとんどなかったらしい (シナトラ千代子)