caprinのミク廃更生日記

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決まってる、いつだって女より男の方が女々しいのだ : 秒速5センチメートル観てきた、良かったよ〜

■ストーリー (秒速5センチメートル公式サイトより)

小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。二人だけの間に存在していた特別な想いをよそに、時だけが過ぎていった。
そんなある日、大雪の降るなか、ついに貴樹は明里に会いに行く……。
貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、その後の貴樹を別の人物の視点から描いた「コスモナウト」、そして彼らの魂の彷徨(ほうこう)を切り取った表題作「秒速5センチメートル」。3本の連作アニメーション作品。

http://5cm.yahoo.co.jp/story/

■この作品について (Other Voicesより)

http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/short/

【この作品について】
 「秒速5センチメートル」は、一人の少年を軸にして描かれる独立した三本の連作短編アニメーションです。時代は1990年代後半から現代までの日本、場所は少年の人生に沿って東京や地方のいくつかを変遷します。
 この作品には、他の多くのアニメーション作品に見られるようなSFやファンタジーなどの架空の要素は登場しません。そのかわり徹底したロケーションを行い、今この現実をアニメーション表現の中にすくい取ろうと試みています。我々の日常には波瀾に満ちたドラマも劇的な変節も突然の天啓もほとんどありませんが、それでも結局のところ、世界は生き続けるに足る滋味や美しさをそこここに湛えています。現実のそういう側面をフィルムの中に切り取り、観終わった後に見慣れた風景がいつもより輝いて見えてくるような、そんな日常によりそった作品を目指しています。

http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/short/


 注意:もろにネタばれがあるので未見の方は見ない方がいいかも
 なんか昔の傷を深くえぐられるような作品だった。どうもこの作品に対しては冷静におられず、なんか文章としても全然まとめきれていないので、後で書き直すかもしれない。しかし、この映画を語ろうとすればするほど、なぜか自分語りに入ってしまうのか、私の文章も含め他のサイトの感想も痛いなあ……。書いてても恥ずかしいし、見てても恥ずかしい。(笑) 逆に人に依存しないで生きている強い人や自立した人、過去の恋に決別出来た人、はたまた単に鈍感な人とかの反応が「ストーリーに起伏がない」とか、「ぶっちゃけ映画になっていない」とか言いたい放題なのもおもしろい。


■Caprinの感想

 大阪の初日に新海誠監督が舞台挨拶に来るということでいそいそ行って来た。

 最初に思ったことは、「やっぱり新海さんはすげー!!」だった。もうこれは全国のアニメファンが観にいくべきだろう。あ〜、ごめん、ちょっと嘘。はっきりいえば、今回は単純にハッピーエンドといえるような内容でもなく、アニメ版『時をかける少女』みたいに気軽かつ万人に薦められる作品ではなかったのだけど、その結末の是非についてなど語るべきことは多いすごい作品だった。少なくとも私は前作の『雲のむこう、約束の場所』より中身が凝縮された分、すごく気に入ったし、新海さんの期待の新作としてはかくあるべき姿の作品だと思う。

  『ねぇ、秒速5センチなんだって』
  『え、なに?』
  『桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル


 最初の第1話、第2話までは普通の純愛ストーリーとして話が進む。今回もおおざっぱに分類すればセカイ系などと呼ばれる話なんだけど、主人公の貴樹もヒロインの明里もあの絶頂の逢瀬から別れて大人になっていくうちにいろいろな経験を重ねていく。これまでのストーリー的には比較的シンプルな純情なナイーブキャラクターの多い新海作品の中にあって、貴樹は「子供のままではいられないことは分かっているのに、過去の思い出の呪縛から逃れられない」というリアルな等身大のキャラクターとなっている。また、もっと現実と向き合おうとして疲れ果て、ココロが擦れてしまっている点はより新鮮に感じられた。逆に言うと、今までの新海さんのキャラクターが良い子すぎたともいえるけど……。(笑) まあ、ぶっちゃけ映画の主人公として貴樹の個性は薄いように思うが、この映画はどちらかというと、各個人の思い出を励起させるような物語だからこれはこれで正しいのだろう。*1

 また、キャラクターや情景がよりリアルになった分、『ほしのこえ』にあったような距離と時間は遥かに離れていても長峰(美加子と呼ばずにあえてこう呼びたい)とノボルはココロで通じ合っていたみたいな理想の世界は描かれず、貴樹と明里の関係は最後まで断絶したままだ。でも、そこは「世界には二人だけ」という自己満足的な純愛の話では終わらず、二人以外の他者をまるっきり断絶した、閉じたゆえに感じる現在のセカイ系の閉塞感をうち破ろうとしたことに『ほしのこえ』、『雲のむこう、約束の場所』を経て、映像だけでなく脚本家としても成長した新海さんの良心を見たような気がした。今作が『雲のむこう』に続くハッピーエンド*2、この場合は安易な貴樹と明里との幸せな再会というハッピーエンドで妥協しているのであれば、多分そこで美術背景は確かに素晴らしいが、ストーリーはイマイチなアニメ監督として揶揄されてしまう可能性だってあったのだ。「アニメだからこそお約束的な理想のハッピーエンドで終われよ」とか、「もっとSFを取り入れろ」とか、みんなの観たいモノがそれぞれに異なるからいろいろ文句も出てくるのだけど、アニメのエフェクトで執拗なまでにときには過剰なまでに美化された現実世界も、貴樹の花苗とは合わせることのなかった遠い目も現実にココロをすり減らしながらあがき続けようとする姿も、さえない現実とそれでも希望を失ってはいけないという葛藤の姿を自身に重ねあわせつつ、私はとても気に入ってしまった。人のココロがどのように変わろうとも、それでもやはり世界は美しいのだと。大人数で作る最もたくさんの大衆にウケるように作られたアニメではなく、少人数で最後まで自分の監督作品としてコントロールし、作家性を守ったことを私は拍手を送りたい。そりゃ確かに明里との再会も見たかったという気持ちもあるが、それはこの映画の余韻的にはやっぱりナシだろう。*3

   『拝啓。寒い日が続きますが、お元気ですか?』
   『いざという時に、電車に乗って会いにいけるような距離ではなくなってしまうのは、やっぱり少し、ちょっと淋しいです』


 アニメといえども映画館でやるにしては、かなり短い上映時間60分の中で、さらに細かく区切られた3話構成というのは、最初「なんでこういう構成なんだろう!?」と思ったが、観終わって納得、時代と主人公の視点が変わるのね。あと、その作用として狙ってやったのか、副作用なのか分からないけど、ラストの真のバッドエンドを迎えるにあたっての舞台装置としての役目、第1話目の束の間の幸せがより悲劇を悲劇として迎えるための無慈悲な仕掛けが痛い。あの第1話目のラストのキスがなければ、貴樹はもっと自由に生きられたのかもしれない。

 第1話目「桜花抄」の実はたった半日の旅による一大叙事詩とも言うべきロードムービーの後、「世界に二人だけ」のキスで新しく生まれ変わった世界や、第2話目「コスモナウト」の対抗ヒロイン・花苗のいつだって好き好き光線を発射しまくりなのに「私にやさしくしないでっ!!」という矛盾するココロの揺れ具合も、それらに近い体験を過去にした者は否応無く自分の思い出とリンクさせられ、恥ずかしいやらうれしいやらで、たまらない話となっているのだけど、第3話目「秒速5センチメートル」でそれらの美しい世界は、現実の世界の波によってどうしようもなくひっくり返る。お互いに通じ合っていた二人の思いはいったいどこに……。今思えば第1話目での束の間のハッピーエンドさえも、最後の断絶に鈍い痛みを伴って思い出させる本当にうまい構成だと思う。

   『あの・・・、貴樹くん。貴樹くんはきっとこの先も大丈夫だと思う。絶対』
   『ありがとう。明里も元気で。手紙書くよ、電話も』

 この時点ですでに彼女は、無意識に貴樹との関係に決別する覚悟が出来ていたのかもしれないね。そして、それに気付かない貴樹がたまらなく悲しい。


 10分程度の短い最終話であり表題の第3話目「秒速5センチメートル」は、大人になっても、あの時の逢瀬が素晴らしすぎたためこれからも彼女の影を追いもがき続ける貴樹と、新しい生活を見つけ別の人と歩き始めようとする明里の間にある「失った何か」を容赦なく見せつける。それは、貴樹に共感し、実生活で自分をすり減らしながら生きていく現代人にたまらない痛みだろう。人の人生は何回もやり直しの出来る架空のゲームじゃないのだから、うまくいかなかったこと、立たなかったフラグも多々あるのだ。「あの時ああすれば良かった」、「あの時もっと勇気を出していれば……」というifの世界はこの世界では徹底的に排除される。でも、世界は残酷だがあまりにも美しく、そしていつだって女より男の方がロマンチストで女々しい。そういう歌が圧倒的に綺麗な背景とフラッシュバックで同期されながら、あの山崎まさよしの声で流れ始める……。
 あ〜、なるほど、この作品は最初に映像ありきではなく、最初に歌ありきの構成で作られているかっ!! 主題歌に「One more time,One more chance」を採用!!と聞いた時には後乗せの便乗商法と思ったので「天門さんがいるのに何でやねんっ!!」と思ったが、こうやって最重要な舞台装置として新海さんの構想の中に始めから組み込まれているのならもうどうこういうつもりもなく、観客はその素晴らしいシンクロに身をゆだねるしかない。そして、この歌がラストで流れるのであれば、どうあがいたって貴樹と明里の再会は有りえなかった。「いつだって探しているよ〜」と流れているのに、二人が再会して抱き合っていたらおかしいもんね。


 また、この作品、感受性の高い若い人にもどんどん観にいって欲しいのだけど、実はほどほどに人生の経験を積んだ25歳以上から新海さんに近い年齢の方あたりまでが一番多く共感し、考えさせられる作品になっているのかもしれないね。そこが、アニメらしいSFやifの世界を取り入れ、リメイクながら中高生をメインとして見て欲しい対象に作られた『時をかける少女』とは違うところかもしれない。『ほしのこえ』などはSFパートにも話題が集まったが*4、今作は徹底的にSF部分は排除され、情景も一貫してリアルだ。

 これは、大人の見るアニメとしてこれまた良く出来ていた『パプリカ』に続き、この作品も間違いなく「失った何か」を求める大人向けのヒーリングアニメなのだ。(大人はアニメなんか見ないとか突っ込まないでね) なんせ、小学生の部屋にあるのがSFC(スーパーファミコン)であることからしてそういう人向けだし、小学生時から携帯を持っている世代には分からない距離の断絶、コンビニで流れる山崎まさよしの主題歌もノスタルジィなら、これまた挿入歌として入っているリンドバーグ「君の一番に…」もまさにそういう人達のツボだからね。(笑) プリンセスプリンセスじゃないのがまたなんというか……。


 しかし、60分でこれだけの内容をつめてくるのだからやっぱりすごいね。絶賛公開中!?のJoJoのアニメ映画『ファントムブラッド』なんかは、大事な台詞がたくさん抜けていて90分じゃあとても時間的に無理という感じだったのだけど、やっぱりあれも今思えば演出しだいでまだ改善出来るものだったのだろうなあ。*5 本作品はJoJoよりもさらに短い時間の中にエピソードをうまくそしてぎっしり詰め込んでいる。まさにどうやってこれだけの密度のある映像を60分に詰めたんだ!?という中身の濃さが素晴らしい。

 もちろん、ここの人(超映画批評:山崎まさよしの主題歌の歌詞を笑えない人に)が言うように

光や背景のディテールにこだわりぬいて、ていねいに描きこまれたアニメーションは、主人公の少年の心の動きをしっかりと伝えてくる。ただ、あまりにカット割りが細かすぎて、ちょいと焦りすぎの印象も受ける。せっかくの素敵な絵が、少しも堪能する間もなく次々と消えて行ってしまうのはあまりにもったいない。この監督にはもっと長い上映時間で、ゆったりとした間を持たせた作品づくりが似合うと思う。

http://movie.maeda-y.com/

 という側面もあるのだけど、実質3話目が主題歌の「One more time,One more chance」のPV的な演出になっている面を考えると、カット割りの細かさももはや必然という気もするし、最近の音楽PVやゲーム、エロゲのOPみたいな早い演出に慣れている身としては別に焦った演出とまでは言えないだろう。*6 むしろ60分の短さは少人数制での製作や予算の都合とも言えるし、主人公の成長過程(小・中学生、高校生、そして大人)と共に小作品を3話並べ、それが合わさった時にひとつの大きな流れが見えてくる点は素晴らしい演出だと思う。逆に『雲のむこう』の時にはたくさんの人に演出が冗長すぎると言われてたし、アニメの尺は結構難しい。*7 そりゃただ見る人からすれば、この作品で回収されなかったエピソードなども含め、もっと長い尺で楽しみたいという贅沢な思いもあるのだが……。


 そして、先行のYahoo!BBで第1話目を見て思うところがあった人は、ぜひとも続きを映画館で見て欲しいなあと思う。第1話だけで満足しているのは非常にもったいない。まあ、全部見終えて「あの第1話目で綺麗に終わっていれば……」という意見の人も絶対出てくるのだろうが、伝説の木の下で絶頂の瞬間を過ごした二人が、その後果たしてどのように別々の時間を過ごしていくのか!? これはやはり山崎まさよしのPVが始まるまでの繋がった続き物としてしっかり第3話目まで見届けてあげて欲しいな。あと、初恋とか引越しとかの別れにトラウマのある人もぜひ観てくれ。この痛さがまた気持ちイイ。(変態かっ!!)  はたまた、少しでもヲタクの非モテの人なら前作品よりもなんかいろいろ語りたくなるついでに自分語りも始めてしまうこと請け合いなので、その手のブロガー達もぜひよろしく。モテない人ほど、この作品を楽しめるというのはあながち間違いじゃないと思うから。(笑) 逆に健全な恋愛の出来る人ほど、これを見る必要はないのかもしれない。そういう人にとっては、背景がキレイなだけのナルシスト・アニメと映るだろう、だが、それはまあ仕方がない。新海誠に何を望んでいるんだという話だ。

 なにはともあれ『ほしのこえ』や『雲のむこう、約束の場所』よりさらに一歩踏み込んだ美しい背景、それらの都会も田舎も日本の四季さえもすべてひっくるめてまとめあげた饒舌な演出の新海節にみんな酔いしれるのだ。


■いくつか思ったことを箇条書き


カブかわいいよ、カブ。 (写真はイメージです)

・じゃなくて、カナエかわいいよ、カナエ。対抗ヒロインの澄田花苗もヒロインの篠原明里に負けず劣らずかわいい。
・て、いうか作監の西村さんのキャラクターデザインは下手に媚びたりはしないけど、素朴で結構かわいいと思う。
・伝説の木の下でキスなんて、世間が許してもお父さんが許しません!!
・第1話目の弁当は反則だ!! 男のコートをギュッと握り締めるとことか、ちょっと舌足らずな明里の声優もいい。
・第2話目のバイクの駐輪所の待ちぼうけも反則だ!! ふいに声をかけられてあせる花苗の仕草が〜!! また、一緒の歩いてて、ふいに泣いてしまうシーンはこの映画の最萌えシーンかも!?
・大きなコーヒーパックと小さなコーヒーパックが並ぶのとか普通にいいな。私もこんな思春期を送りたかったぜ、ちくしょーっ!!
・第3話目の貴樹の彼女はかなりかわいそうだ。1000通のメールでも1cmも近づけない断絶とはいかほどのものであろうか!?
・電車のボタンを押さないと閉まらないドアというのは、雪の多い東北とかだけかと思ってた。栃木とかにもあるの!? ま、ここらへんは鉄ヲタの偉い人がそのうちいろいろ書いてくれるだろう。
・貴樹の無くしてしまった手紙にはなんて書いてあったのだろう!? 明里の渡せなかった手紙の内容も気になる……。
・携帯を小学生の時から持っている若い世代は、「雪で遅れているのなら、電話しろよ!!」とか思ったりするのだろうか!? 世の中便利になったけど、携帯は繋がっても、ココロは繋がらないなんてことたくさんあるのだろうが、そういうのも通じない人には通じないよね〜。
・届かない架空のメールを打つクセというのはどうなんだろう、リアルにそういう人がいると正直キモい!? 途中まではちゃんと手紙やメールを送りあっていたと信じたいね。
山崎まさよしの歌詞のまんま、この主人公の貴樹もかなり女々しいわけで、女子の場合、そこらへんこの作品に共感を感じにくいかもしれないなあ。いや、主人公に嫌悪感さえ抱くかもしれない。また、男が貴樹に共感出来ても、女子の場合、彼は言うにおよばず、今回のヒロイン・明里には「二人だけの世界」が強すぎて共感しにくい気がする。どちらかというとまだ他者とのやり取りがあった花苗の方が受けいられそう。ここらへん女子からの感想も聞きたいな。あなたは貴樹に共感出来ましたか!? まあ、普通は無理だよね〜。(笑)
・貴樹の仕事を辞めた理由が、逃避によるものなのか、区切りをつけるためによるものなのか、受け取り方によっては、かなりこの主人公をへたれと感じてしまうかもしれない。自分なんかは、彼の踏切での笑いは前向きなものであったと信じたいのだけど……。
・天門さんの音楽は相変わらず素晴らしい。山崎まさよしの曲のコラボもピアノアレンジも個人的には心配していたのが馬鹿みたいに問題なし。
・音楽も素晴らしいのだが、なにげに音響も素晴らしい。鉄道のシーン*8だけでなく、ランドセルの荷物が撥ねる音、蛍光灯が放電する音、本のめくる音、雪の踏みしめる音など、本当に気を使って作られていると思う。
・桜と雪が背景のメインだけど、春と冬だけじゃなく日本の四季を美しく描写していると思う。紅葉の落ちる秋の風景がなかったのがちょっと残念。
・空を飛ぶ鳥がいろいろ出てくるが、場面によってその鳥も変わってくる。東京を飛ぶ鳥はやはり黒いカラスか!?
・第1話目5cm/s、第2話目 5km/h、第3話目 1000回で1cmの距離
・あのなつかしい猫がちょっとだけ登場、カメオ出演!? チョビ、ミミはどうしたの!?
・今更私が言うまでもなく、日常の映像を切り出した美しさはもう本当にすごい。なんでここまで綺麗に表現出来るのだろう!? 今回、人間の演技も凝っていて、弓を引くシーンとかいかにもそれらしい。ただ、サーフィンの波のシーンは他と比べてちょっと不自然かもしれない。*9あ、でも新海さんの得意な電車や電線、流れる風景などはもう神レベルだ。
・今回、全ての人に受け入れられる作品とは私も思っていないのだが、私的にはすごく良かった。というか、いろいろ言われるくらいならぼかぁもう信者ということでいいので。つうか、最初の3分くらいですでに泣きそうになったわけで。

 う〜ん、ここらへんの気になったことは、思い出したら追加してみよう。



・Loftの下にあるテアトル梅田
 新海さんとキャラクターデザインの西村さんが舞台挨拶に来るということでそこそこ行列が出来る。内訳としては、90%が野郎で女子は思った以上に少なめ。自分も含めてヲタク率も高かったが、一般公開時にはその比率は多少下がるだろう。新海さん達はここに来る前に京都でも舞台挨拶があったようで、なかなか慌しい。明日は名古屋だって。



・ポスター1



・ポスター2
 ポスターは4種類くらいあったかな。人物よりも風景がメインという感じのものが多かった。ま、そこは新海さんですから。(笑)



・パンフとCDも買ったぞ〜
 今回の作品の主題歌である山崎まさよしの「One more time,One more chance」は確かアルバムで持っているはずなのだが(どっかいって見つからない)、ぶっちゃけ新海さんの新装包装の絵に惹かれてシングルを買ってみた……。また、パンフは小さいものだが、なかなか凝っていて綺麗だ。



・新海さんと西村さんのサイン
 舞台挨拶そのものは新海さんがいまだあまり慣れていないということもあって、結構あっさりしたものだったが、サインをもらえて満足。その時に監督に話した感じだと、DVD化はすでに予定されているものの、映画の公開がいつまで続くかによって変わるのでまだ日程は流動的とのこと。あと、Blu-rayとかの話もあるらしいが、そちらの方はまだまだ先らしい。DVDと同時発売とかはさすがになさそうだ。ただ、Blu-rayにしろHD DVDにしろ現状のDVDより高画質のHD画質で本作品が見られる可能性があるのはうれしい。ま、そもそも発売の日程はCoMix Waveさんの製造元のやりくりもいろいろあるだろうから、実際のところは監督の方でもなかなか読めないと思うのでこれは参考程度に……。


・感想リンク 秒速5センチメートルを応援するブログ

http://hirobiro.cocolog-nifty.com/blog/


・感想リンク 新海誠秒速5センチメートル』 感想 ―― 誰の代わりでもない君へ (独り言以外の何か)

http://d.hatena.ne.jp/Su-37/20070319#1174309888

 これは断絶の話か、あるいは絶望の話かと想像はしていたものの、あれほど徹底された作品だとは思わなかった。ストレートに断絶を、終わってゆく人間を見せてくれるとは。好みの出やすい作品であるのは理解できる。ハッピーエンド原理主義者には間違っても薦められないし、物語に達成感を求める人にも難しいだろう。逃げるのが下手な彼に対して共感を得られない器用な人、強さの定義を自分の中に持っている人、裏切りに対して潔癖である人……元々創作は受け手の感受性(つまりは過去)と切り離せない存在ではあるが、この作品は特に個人の過去によって受け取り方が変化する要素が大きい。自分はありがちだがどこか類似した歴史を持っていて、忘れられない作品になった。

http://d.hatena.ne.jp/Su-37/


・続きリンク 映画 『秒速5センチメートル』 関連コメント(ネタバレ)

http://d.hatena.ne.jp/Su-37/20070323#1174599715

 この作品が観る人への鏡というかリトマス試験紙的な役割を果たしているという点はおもしろい。自分も、幸か不幸か、小学生の時に好きな娘が親の都合で引越しし、その何年か後、自分も引越しというイベントを体験してしまったため、否応無くこの作品に感情移入してしまったところはあるな。そういえば渡せなかった手紙というのもある……。


・感想リンク 見てきたよ。前作は涙が溜まったけど、今作は最後、じとーっと背中に汗をかいた。 (My minimal life)

http://d.hatena.ne.jp/makoto_i/20070325#p1

 第3話、「秒速5センチメートル」のロゴがでて、山崎まさよしの「Once more time、One more chance」がかかった瞬間はゾワっと来るものがあったんですが、その後はもう背中に思いっきり汗はかきだすわ、手はぎゅっと痛いほど握り締めるわ、さらに言えば唇も時々噛んでたかもしれません、俺。

 なんつか、つらかった。一つの事を捨てきれなかった男の末路がこれか、と。

 3話で個人的に「きた」のが、「会社を辞めた」という台詞。ここでまずガツンと殴られたような感じがして、すごく揺さぶられて、そして歌と共に描かれる一人の男の終わった姿と、対照的なヒロインの姿。さらに言えば、描かれる風景がなまじ美しいだけに、余計に痛々しかったのかもしれない。

 貴樹は結局、1話から、中学生の時に明里とキスしたあの時から、進めてなかったというか、囚われてしまった、というか。それを貴樹はどうすることもできたはずではあるんだけど、結局止まったままで。そう考えると、表題の「秒速5センチメートル」っていうのが凄く痛く思える。

 そして最後、踏み切りで貴樹が見せた笑顔には、個人的には救いを見出せなかった。終わってしまったという諦観を感じるというか、正直、悲しさと虚しさを感じるだけで。あそこからまたスタートはきれるという考えもあると思うんだけど、後の主人公に何が残ってるのかと思うと、ただただ空虚な感じしかしなくて。 

http://d.hatena.ne.jp/makoto_i/

 観る人のバックグラウンドによっては、あのラストがすごく痛々しく感じるのは理解出来る。でも、自分なんかはわりかしラストの貴樹の笑顔は前向きに捉えていて、実は「まっ、そんなことはないか(いるわけないか)」という軽い自分への嘲笑みたいなものと考えている。過去に囚われている彼だけど、仕事を辞めることも含めて今の自分を変えたいと思う気持ちはまだ失っていなのだから。まあ、自分の希望も含めて「そうであって欲しい」というところはありますが。(笑)
 

・感想リンク 秒速5センチメートル見た ネタバレあり。度合いがひどいので、見てない人は回避推奨。 (じゃあ二分後に、踏切で)

http://d.hatena.ne.jp/matunami/20070325

秒速5センチメートル。山崎の歌が流れる。番宣で山崎の歌が主題歌みたいな扱いになっていて、ホワイ? あわなくね? と思っていたが、なるほど、こういうことか。音楽にあわせて話つくって映像つくれば嫌でもこれぐらいのシンクロ率上がるわな。合わせて作ったといっても、あくまで構想が先だろうけど。んでもってオチがこれまでの新海誠の正逆。男と女の間に電車が走る光景において、3通りの結果がある。お互いが残っている、片方がいない、片方が階段か何かを使って駆け寄ってきている(両方がいないという結果は、神の視点以外それを確認できないので除外(視点者がその場を離れたとき確認できるのは、自分がその場を離れたということだけで、相手がそこにいるかどうかは確認できない))。三個目はアニメの海がきこえるによって、われわれはその存在を知った。で、今回は。

切ないお話ではあったが、このオチだからこその充足感ってのは拠るところが大きい。つながるのもいいとは思うがそれは夢見がちすぎるということに、世界が気づいたんだと思う。

三篇の舞台が、中、高ときていきなり社会人だったわけだが、このオチだと空白の大学時代が気になる。東京の大学いっただろうに、なんでそこでどうにかしてないんだ。理屈というより、キャラの心情的におかしい。

総括。いつも同じ展開で、違うオチ。新海誠の新世界。伸びしろを感じさせる一作。

http://d.hatena.ne.jp/matunami/

 伸びしろという点では大いに同意。新海さんの年齢がまだまだ若い34歳。宮崎駿がもうどう頑張っても2、3作作れたら奇跡という年齢であるのに対し、彼はまだまだたくさんの作品を産み出せる時間と体力を持っているからね。それに何よりまだまだ伸びる力を持っていることをこの作品で見られたことがうれしい。


・関連リンク [PV] 山崎まさよし - One more time,One more chance - 「秒速5センチメートル」ver. (YouTube)

http://www.youtube.com/watch?v=XTuuFYknJjk

 ぶっちゃけ、劇中の絵がかなり使われているので、本編を見ていない人はまだ見ない方がいいかもしれない。と、いうかPVのラストがああなっているのを見るのは絶対本編を見てからの方がいいと思う。あ〜、昔はこうだったのかっ!!


・関連リンク 秒速5センチメートル 対談〜新海誠×山崎まさよし (Yahoo! JAPAN:秒速5センチメートル)

http://5cm.yahoo.co.jp/interview/index.html


・関連リンク Makoto Shinkai on NHK "Top Runner" (YouTube)

http://www.youtube.com/watch?v=n5Pomy7Kj3Y&mode=related&search=

http://www.youtube.com/watch?v=t9yxb9DJfUY&mode=related&search=

http://www.youtube.com/watch?v=GMTnLIxihKA&mode=related&search=

http://www.youtube.com/watch?v=f0rcUBil8Ps&mode=related&search=

*1:このキャラクターの個性のなさが、ジブリ作品などの躍動するアニメを好きな人には物足りないのかもしれない

*2:小説版ではその先の別れも書かれているのだが、映画版の最後はヒロキがサユリの魂を連れ帰ったのだから、これはもうハッピーエンドだろう。例え、何かが失われていたとしても。

*3:このifの世界は、他の人によって作られた同人誌やSSで楽しむとしよう。劇中では語られることのなかった貴樹の空白の大学生活もなんか見てみたいね。

*4:ただ、新海さんの『ほしのこえ』初期プロットにはSF描写はまったくなく、これを見たDoGA CGA代表のかまたさんが「メールをやり取りするだけでは地味すぎるので、SF要素を入れましょうよ」と無理やりロボットアニメとかSFアニメを見させたのが、『ほしのこえ』がSFモノになった原因らしい。新海さんの住んでいたところが田舎で、アニメがあまり放送されていなかったというのもあるが、当時は『ガンダム』くらいはまあ知っているが、『トップをねらえ!』なんかはまったく知らなかったとか……。逆に田舎だから綺麗な青空とか星空ばかりを眺めていたとかなんとか。実はこの『秒速』、結構『ほしのこえ』の最初のプロットに近いかもよ!?

*5:もちろん、JoJoは原作のエピソードが長く、過不足なく原作ストーリーをなぞれるはずはないのだけど、ストーリーには直接影響しないが大事なセリフを消してしまうなど、ケレン味を無くしてなにがJoJoかっ!! うまいやり方はもうちょっとあったはず。

*6:新海さんはもともとゲーム業界の人だし

*7:単純にカット数で言えば『雲のむこう』と『秒速』は同じ数らしい。時間を削った分、絵の密度は1.5倍になったとも考えられる。

*8:ただし、鉄っちゃんに聞いてみると、〜〜系の電車であの駆動音はおかしいとか、あれだけの雪であのブレーキ音はないよなとか、しまいには「雪まつり」はないよなとかうるさかったので放置しておいた。ま、普通の人には十分な臨場感があったということで。

*9:奇しくも海がメインの話になるポニョの製作に入った宮崎駿監督が、「海を描くのは面倒くさくて大変だ、本当はやりたくなかった」と言っていて笑った。海とか波に関しては2Dより計算して出来る3Dの方が有利かもな。