caprinのミク廃更生日記

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「価値」のインフレーションを抑えるには

■「価値」のインフレーション (素通りできなかった時のために)

http://d.hatena.ne.jp/yamatedolphin/20070821

 基本的にはアンカテの人の意見よりも同意。
 価値を見つけにくい世の中とは単純には思いたくないのだけど、ここの人が言うように新しい市場というか、ブルーオーシャンが少なくなっているような気はする。成熟した市場で、やき直しばかりしていたら、そりゃあ未来はない。
 でも、ニコニコ動画なんかのやったことなんて、テロップを乗せただけ、YouTubeにタダ乗りしただけ、技術的にはマッシュアップしただけに見えるのだけど、そこにはTVの視聴の仕方を変えるという価値の創造があったからこれだけウケてるんだと思うんだよなあ。まず世界的にYouTubeが成功し、それを受けて日本人向けにカスタマイズしただけでこれだけ価値が広がったというのはもっと注目すべきところだろう。*1 また、Wiiのヒットなんかも技術的な進歩だけではなく、コントローラーの概念を覆すという価値の創造があったのがやっぱり大きいのだと思う。ま、ゲームソフトの方はおっしゃる通りパーティーゲームや頭の体操、知識ゲーム系に偏っていて、まだまだ現状の価値を覆すところまでいってないのだけど。*2


■言及元リンク 「世の中は厳しい」なんて大嘘 (アンカテ)

http://d.hatena.ne.jp/essa/20070821/p1

 賛否両論を含めて、なにかを言いたくなるという意味では素晴らしいエントリ。
 大企業が体力勝負でレッドオーシャンを戦っている間に、個人はニッチなブルーオーシャンで戦えと言っているようなもんか。あるいは、趣味でもそこそこ小銭を稼げる能力を磨けというところ!? ただ、ミュージシャンなどのクリエイターの場所も参入する人が増えれば増えるほど、競争は激化し、海は汚れて赤くなっていく。もっともっとニッチなところを狙えばいいというが、そこで目立つにはそれはそれで別の才能も必要なのかもしれない。なんせ血の海やプランクトンなどの大量発生で赤くなった海を魚がすいすい泳ぐには、なんらかの新しい泳法や進化したエラ呼吸能力(はたまたハイ呼吸に進化!?)や過酷な条件でも生きていける耐性が必要だし、まだ汚れていない青い海に逃げ込むにしても、そのわずかな楽園を見つけるために優れた旋回能力や運も必要だろう。


■関連リンク 『「世の中は厳しい」なんて大嘘』にちょっとだけ補足 (狐の王国)

http://www.misao.gr.jp/~koshian/?20070821S2

まずこの話はネットの経済圏、つまりはGoogleAmazonアフィリエイトの市場が今の数十倍から数百倍になった未来を前提にしている。実際のところアメリカではすでに日本の市場の10倍程度の規模になってると言われるし、国内でも向こう数年で軽く数倍くらいには膨れ上がるという予測がある。

要するにネットのメディア価値が高くなるということだ。すでに3年も前に ネットの市場規模はラジオを抜いている し、これからネットが食い始めるであろうテレビの広告市場は2兆円以上もある。ネットの今の広告市場はそのたかだか1/10程度だ。まだまだ伸びる市場なのである。

そして重要なのは、その広告市場のプレイヤーが企業から個人へ移るということだ。広告収益を得るのがマスメディアを運営する企業ではなく、ブログなどのサイトを作る個人なのだ。

これにより、個人収益を挙げられる人が爆発的に増大する。大企業1つ食わせるだけの収益がたくさんの個人にバラまかられるのだ。2兆円規模としても、1人頭平均30万円とすると60万人以上の人間が「食える」ということになる。実際には偏りがあるので、食える奴はもう少し少なくなると思うが。

 ここらへんよく分かんないんだよなあ。個人の時代といいつつ、GoogleAmazonという企業に依存する以外の方法はないのかと。これではアメリカ経済の覇者、並びにグローバルな世界でも有数な独占企業が、IBMIntelMicrosoftからGoogleAmazonにすり変わっただけで、富の中枢は相変わらず彼らにごっそりもっていかれているのだ。そのおこぼれでも個人にとってはある程度大きな財になるかもしれないが、そのおこぼれを受け取る人数も多い分、大企業が下請けの中小企業へ渡す報酬よりは遥かに小さい。

 まあね、個人的にはGoogleAmazonのサービスは大好きだし、そこらへんの人よりはかなりたくさん利用しているとは思う。でも、一方で特定のネット企業だけにあまりに依存するのはかなり怖いとも思っている。日本のヤフオクの例を挙げるまでもなく、市場を完全独占化の後に有料化など、その牙をむかれてしまったら個人ではまったく対抗出来なくなってしまうのだから。*3 また、アメリカと日本のアフィリエイト市場が10倍というのも、Google AdSenseの利率の違いがかなり大きいから*4と思うが、Googleが今更、日本の利率を劇的に上げるとも思えず、アフィ市場が日本でそれほど簡単に広がるかは個人的には疑問だ。また、アメリカならアフィリエイトだけで食っている人はそこそこいるみたいだが、Googleが「利率を半分にします」と言うだけで、収入が半分になってしまう。これは本当に怖い。それに、日本でも個人収益をあげようとする人はもう間違いなくこれからも増え続けるが*5個人収益をあげられる人はこれからもそうそうは増えない。これもある閾値を超えたコンテンツを産み出せる少数の人間(=アルファブロガー)が大儲け出来る反面、少々のクリックでは橋にも棒にもかからない(=売り上げに繋げられない)人々がこれからも増えていく格差社会が形成されていくのだろう。だから、子飼弾氏ややねうらお氏などのある閾値を超えたサイトでの売り上げがさらに上がることはあっても、その閾値まで追い上げることが出来ずに倒れてしまう人がほとんどなのが現実だろう。ま、若い人の中にそれらを軽く飛び越えるコンテンツを作り出せる人が出てきて欲しいとは思っているが。他には、自分がコンテンツを作り出せなくても、ネットに散らばった素晴らしいコンテンツを集積出来る場を作る人とか。

 Yahoo!オークションを見てみるといい。ちょっとした色紙に素人が書いた絵が、3000円とか4000円で売買されてる。1日に5枚書いたとして20 日労働で30万円である。今は国内向けの販売しかできないだろうが、これが海外に向けて販売されたら、本当に月100枚くらいの色紙(ではないかもしれないが)が売れてしまうだろう。そうしたらもうそれで「食って」いけるではないか。

 このあたり、私が見ていた時代のヤフオクと違うのかもしれないが、有名でない素人の絵がそんな高価な値段で売られたいるとことは、とんと見たことがないなあ。有名な絵師のわりに素人でも描けそうな絵で、しかもそれが信じられない高価な金額で売られていることは見たことあるけど。(笑) あとは、食い扶持に困ったそこそこ有名なゲームデザイナーが苦し紛れに自筆絵を売っているのを見たことがあるが、あれはかわいそうなくらい売れていなかった。そして、他に見たことあるのが、有名な漫画家の偽色紙。当時はサムネイル写真でも偽者と分かる色紙をよくあんな値段で買うなあと思ったもんだ。

上司や社長が無能なのではないかと思った人は、まずその会社がどうして仕事が回ってるのか観察するんだ。そして会社を飛び出し、起業したほうがいい。君なら少なくとも彼らよりはいい仕事ができるはずなのだから。

 これは同意。仕事が本当に出来るのなら、起業すればいいと思うよ。


はてブより

なんで単純に「アートで食える人が増える」というふうには考えられないのだろうか

 私は「アートで食っていける人」は増えて欲しいし、若い人が「世の中厳しい」と思って、戦う前から諦めていることは良いこととは思わない。だけど、「世の中は厳しいなんて大嘘」とか「世の中、舐めても生きていける」と思うだけでは現状認識が甘く、梅田望夫氏の「若者よ、サバイブせよ」という言葉に賛同するなら、これからの難しい世界をしたたかに生きのびようとする心構えがまだまだ足りない様にも思う。若い人のポジティブシンキングはおおいに応援したいが、ポジティブさと無謀さを履き違えて、ゴリ押しばかりしても、ほりえもんや村上氏みたいに現状に満足している権力者に寝首をかかれるのだから。
 あと、アートで食っていける人が増やせるのなら、まず今働いているアニメーターとかが食えるようになって欲しいなあ。すでにレッドオーシャンに突入して久しい業界だけど、死海が広がりすぎていてすでに魚が死んでいるか、逃げ出しているからなあ。

*1:今の自分の視聴率はYouTubeよりニコニコ動画の方が圧倒的に高い

*2:ただ、ブームの発端となった「脳を鍛える大人のDSトレーニング」なんかは、NintendoDSの価値を再発見する、普段ゲームをやらない大人でも遊べるゲームを誕生させたという意味では、やっぱり価値の創造のブレークスルーだったのではないだろうか

*3:まずは無料で利用させ会員を増やした後、月額利用料の徴収、さらに取引金額に応じて利率で利用料の徴収とか、以前ほどヤフオクのうまみは無くなったといえる。我慢してYahoo! Japanに上納金を払い続けるか、サービスそのものを利用しないかの2択が基本で、他のより良いサービスを利用するという選択が現実的に難しいというのが独占市場の困ったところだよな。

*4:広告規模の違いもあるが、日本の利率はアメリカの利率と比べて不当に安い。

*5:なんせ「ネットでこうすれば儲かる」系の本は大盛況だから。