社説・春秋 日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋
■素晴らしい社説が消えていたので、せっかくなので全文転載しておく。いったいどこのコワモテの要望で消されたのかなあ!?(しらじらしい)
春秋(4/25)
休日、近所の銭湯に足を運ぶことがある。たっぷりのお湯に浸ればこの世の憂さも忘れるからか、意外にファンが多い。この間は、湯気のなかでご同輩が秋川雅史さんの「千の風になって」を朗々と歌い上げるのを楽しませてもらった。
▼こういう話を書き始めると、例の歌詞を持ち出したくなる。私のお墓の前で……。おっと、ここは用心しなければならない。音楽は著作権で守られ、曲も詞も使うには制約がある。それを管理して使用料を徴収しているのが日本音楽著作権協会(JASRAC)だ。方々に目を光らせ、ちょっとコワモテである。
▼この団体が放送局と結んでいる契約は、著作権ビジネスへの新規参入を阻んでいる。こんな疑いで公正取引委員会が調査に乗り出した。1曲いくら、ではなく包括的にお金を集め、著作権者に配分する仕組みだ。便利なやり方ではあるが新しい事業者が入り込む余地がなく、市場はほぼJASRACの独占という。
▼著作権の重みは論をまたない。しかし1つの団体だけが自らに都合のよいルールの下で自在に振るまっているとすればフェアじゃない。そもそも音楽は作り手のものであるとともに世間の人々の共有財産。風呂場で高唱するオジサンあってこそだろう。旧弊を破り、音楽市場にも「千の風」を吹かせてもらいたい。
「おっと、ここは用心しなければならない」って冗談のつもりで書いたのだろうけど、実際に用心しないといけない事態になったようだ。書いた人、夜道には気をつけてください。相手は音楽やくざですから。でも、本当のことを言っただけじゃないか。(笑)
ただ、包括的契約が悪いことなのではなくて、JASRACが事実上独占していること、その配分が不明瞭であることそのものが悪いのだけどなあ。公正取引委員会もなんかずれてる。