「ハルヒダンス」は何が評価されているのか? (黒く濁った泥水を啜る蜥蜴)
http://d.hatena.ne.jp/kurotokage/20080615/1213541293
いや、技術的にすごいのだろうということは素人の私でも想像できます。あれほどにウネウネと細かく動いているアニメは(特にTVアニメでは)観た記憶がありません。
でも、技術は技術です。Tシャツプリントに例えると(なぜ)、インクの発色が良い、細かい柄がつぶれていない、圧膜のエッジがたっている、版ズレがない、などといったことと同じで、それ自体決して直接消費者から評価されるものではありません。
ファッションにこだわる人が、「わー、これ切り替えをまたいでるのに柄がつぶれてない!」とか「インクジェットとシルクスクリーンをうまく組み合わせているなぁ」とか言ってくれることはありません。技術的に優れていてもダサいロゴやもっさいキャラクターがプリントされているだけでは見向きもされませんし、多少技術が雑でも全体的な柄が良ければ売れます。
もちろん表現の幅を広げるために技術は必要ですが、まずは表現ありきで技術はそれを下支えするものでしかありません。話を元に戻すと、「ハルヒダンス」は確かに技術的にスゴいことをやっているのでしょうけど、しかしその技術でいったい何を表現しているかを考えるとあまりにもチグハグなことをやっているのではないかと感じるのです。
今週の釣り堀はここですか!? 本編を見ずにアニメを批判するのは、罵倒Web芸人だけに許される芸当だと思うのだが、この人がこのエントリを本気で書いているのか、ネタで書いているのかイマイチ判断出来ない……。ま、最近はニコニコ動画のMADなど、素材が切り貼りされて世間に露出されることもあるから、こういうオープニングやエンディングのアニメだけでその価値を評価されることもあるのかもしれない。難儀な時代だねえ。
自分は絵的におもしろいとか、技術的にすごいことをしているのなら、ストーリーやキャラクターがダメダメなアニメでもとりあえず見る方なので、この人の「本編は見ていないけれど……」的な意見には少し賛同しかねるなあ。ハルヒに関して言えば、絵だけでなく話もおもしろかったのでお奨めよ。それに、アニメって、本来動いているだけで楽しいじゃん。「不気味の谷を飛び越えてこそ、ヲタクよっ!! ヲタクならその試練を飛び越えて見せろっ!!」って、この人、ヲタクじゃないのか!?
http://d.hatena.ne.jp/KoshianX/20080616
さて、そのハルヒダンスは何を表現していたのだろうか。
ファンになら言うまでもないだろう。あれは涼宮ハルヒ率いるSOS団の5人の性格や人間関係、さらには日常までをも実にうまく表現しているのである。
「ハルヒ」はそもそもエキセントリックな作品であり、「ハルヒ」自身もエキセントリックな人間だ。そのエキセントリックさは作品を見てみればよくわかる。ハルヒは日常がつまらないといい、非日常の世界を追い求める。それに付き合わされるキョンの溜め息。そしてそれぞれの事情でハルヒに付いていかなくてはいけない長門有希、朝日奈みくる、小泉一樹の3人。
あのダンスを見ていると、彼等の日常が、作品世界の日常が、手に取るようにわかる。
きっとあのダンスもいつものハルヒの思い付きだ。
「みんな! ダンスを踊りましょう! ダンスよダンス。実は商店街でダンスコンテストがあって……」
溜め息をつきながらしぶしぶ付き合うキョンの姿が目に見えるようだ。