「ハケン切り」の品格「派遣切り」(用途:労働問題を真面目に考えたくない際に) (NBonline)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081222/181016/?P=1
そもそも原理的に言って「派遣社員」というのは、「切る」ための社員だ。企業の側からすれば、不況に直面した時にいち早く整理できるからこそ、派遣労働者を雇い入れていたはずなのだ。それゆえ、もし問題があるのだとしたら、それは、「派遣社員を切ること」よりも、「派遣社員という雇用形態を容認しているわれわれの社会」のシステムそのもののうちにある……はずなのだが、こういう時に正論を言ってもしかたがない。
でも、それにしても「ハケンの品格」は、派遣労働者を応援するというよりは、むしろ、派遣労働者が置かれている差別と搾取の現実から目を逸らすことに力点を置いたドラマであった。非正規労働者慰撫企画。防衛機制の材料。ひがむよりは夢を見ようぜ式の。
「フリーター」というこの曖昧な用語には、「本人の意志で、非正規労働に就いてるわけだから、労働用語で言うところの『失業者』とは別だよね」ぐらいの気分が含まれている。つまり、この言葉を使いはじめた労働省(および後の厚労省)は、若年の失業者について、それを直視する気持ちが無く、また、彼らの面倒を見る責任を感じてもいなかったのである。