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細田守の新作「おおかみこどもの雨と雪」を観た - 挑戦者ストロング

アニメとは、実写では難しいムチャクチャもできる表現媒体だ。猫が長靴を履いてチャンバラしたり、豚が戦闘機を操縦してドッグファイトしたり、犬のホームズがプロトタイプベンツで爆走したりする。それは作品毎にリアリティレベルというものがあって、「こういうところはウソつきますよ、でもああいうところはウソじゃないですよ」という線引きが各々の作品でなされているから観客は「なるほど、このお話はそういうものか」と納得してフィクションを飲みこんでいるのだ


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「おおかみこども」の魅力はなにも背景だけではない。
登場する子供たち。雨(弟)と雪(姉)の動きや表情、セリフの間。
いわゆる「アニメ的」いや「萌え的」な要素はなく、もはやそれは「ドラマ」だった。


■関連リンク 社会を信じるか:『おおかみこどもの雨と雪

本作は『時をかける少女』にあったサスペンスも無いし、『ぼくらのウォーゲーム』や『オマツリ男爵』や『サマーウォーズ』にあったアクション要素も無い。でも、細田守の過去作のいずれに比べてもクライマックスでドキドキするんだよね。それは、過去作のいずれに比べても登場人物が成長するさまがしっかりと描かれるからではなかろうか。


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自然の描写も鮮やかで、風になびく草だとか、降りしきる雨の描写は実写さながら。でも「おおかみこども」のキャラクター描写はやっぱりアニメならではのもので、アニメ的な表現と写実的な表現のいいとこ取りみたいな映像かなと。

そのぶん、言い方を変えるとストーリーの起伏は乏しいというか、過剰にドラマチックな要素はありません。タイムリープしたりしないし、「よろしくお願いしまーす」のようなカタルシスもない。


■関連Interview アニメーション映画監督、細田守に訊く。

 ええ、私にはまだ子供がいないんです。子育てを実際には体験してないので、いま子育てをされてる親御さんたちにどういうふうに思われるのか判らないんですけどもね。とはいえ、僕たち夫婦にも子育てへの憧れの気持ちっていうのがすごくありました。なかなかね、子供は欲しいといってできるものではないので、その憧れをそのまま形にしたというところなんです。結婚するまではまさか母親の話を描くなんて思ってもいませんでしたね。


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 ワイルドな“おおかみこども”を育てるため、家族は都会から田舎に移り住みます。それぞれのシーンが、どこかで見たような風景(筆者の場合、東京や福島)なので、アニメなのにも関わらず、物語がとてもリアルに感じられ、自然と感情移入ができました。都会にある大学の校舎や大通りの看板、バイト先の風景、田舎の山、川、畑など、細部がリアルに描かれているからこそ、“おおかみおとこ”というファンタジーが、現実のものとして想像でき、その苦悩に共感できるのかも知れません。自然の厳しさ、人の温かさを改めて実感させられます。


■関連リンク 細田守的「これが女の生きる道」

 キャラの表情や演技は繊細でみずみずしく、シンプルながらニュアンスに富む描線に見ほれます。背景の描き込みはフォトリアルな方向(特に都会)で、そこに陰影やぼかしをデリケートに配置しキャラとなじませ奥行きのある空間を作り上げています。CGによって表現された、風にそよぐ草花や嵐でしなる木々なども見もの。背景美術と同じタッチのまま風景を動かすことで、リアルで迫力ある自然描写になっています。


■関連リンク 「おおかみこどもの雨の雪」感想スレ


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