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けれど、どの家電メーカーも強い分野に集中してイノベーションを目指すのではなく、“全社が全製品を作る作戦”にでました。みんな、テレビから炊飯器、パソコンから携帯電話、デジカメまで作ろうとしたのです。こうしてすべての商品が供給過多に陥り、メーカーから流通に価格決定権が移行しました。
業績不振の原因はあれこれ取りざたされているけれど、20年も前に価格コントロールを手放し、それを放置してきたことが業界凋落の原点であることは、忘れるべきではないでしょう。
■関連リンク ちきりん女史が家電業界に関していい感じで煽っていたので: やまもといちろうBLOG(ブログ)
ちきりん女史のテキストには価格支配力が量販店等リテールに奪われたという点が問題視されていましたが、実際のところ欧米の製造業においても価格統制の役割は大手チェーンストア側が握っており、消費者により近いところで価格が決まるモデルというのはこんにちの商品流通においては当たり前であって、家電に限らず化粧品、自動車、旅行チケット、ゲームソフトなど中古市場があるないに関わらず結構常識的になってきている分野です。
強いてちきりん女史の言説を補強するのであれば、販売を行うにあたって量販店からの”逆襲”を恐れて一番利幅の高いコンシューマーに対する直接販売の道を積極的には拓いてこなかった営業戦略上の問題ということもできなくもありません。