iPodの著作権料 朝日「誤報」の裏の裏 (FACTA online)
http://facta.co.jp/article/200707041.html
「iTS」は2005年8月に日本で事業を開始した。アップルは、何曲ダウンロードされたかなどのデータが確定していない段階で、1年4カ月後の 06年末に1年分の暫定著作権料2億5千万円をJASRACに支払った。しかし、JASRACは、アップル側からのデータだけでは、作詞家や作曲家ら権利者への分配額を正確に算出することができない。このため、JASRACは受け取った2億5千万円を、「預かり金」として処理して権利者には渡していない。宙に浮いたままなのだ。
同じようなデジタル楽曲の配信を手がけるソニーの「mora」の場合、3カ月ごとにカネと4項目のデータをJASRACに納めているのに対し、アップルはそれができていない。JASRAC送信部の小島芳夫氏は「アップルから報告された13カ月分の利用曲目のデータには、アーティスト名、楽曲名程度しか記載されていなかった」と不満を漏らす。対策として「iTSの楽曲管理IDとJASRACの管理番号をデータベース上でリンクするなどの措置を実施中」という。
02年に参入したジャパン・ライツ・クリアランス社はダウンロード数などの詳細なデータを著作権者に報告するなど透明度の高さを売りものにしている。しかし、JASRACのインタラクティブ配信システム「J-TAKT」「J-NOTES」は、01〜02年に稼働させた古いシステムで、「大量のデジタル配信を前提にしたシステムになっていない」(システムエンジニア)。さらに、販売量は少なくても長期間売られる「ロングテール」現象や「多品種少量販売」に適応していない、といった指摘もある。
一方で、執拗ともいえる音楽の違法コピー取り締まりの姿勢を見せているJASRAC。「ネットの住民」たちは、格好の獲物を見つけたかのようにブログや掲示板でこの問題を取り上げ、JASRACを批判した。
いずれにせよ、朝日の「誤報」の裏には、事実上の独占事業者であるJASRACが、ネット配信の著作権料をきちんと計算し、著作権者に支払う義務を果たしていないことがある。
これは、国民年金の保険料徴収に躍起の社会保険庁で、データ入力漏れから記録が宙に浮き、年金の受給漏れにつながっている構図と似ていないか。JASRACは「音楽著作権管理の社保庁」と言われても仕方ない。
■関連リンク Re:JASRACへの支払い手続きについて議論すべき (Slashdot)
http://slashdot.jp/mac/comments.pl?sid=361870&cid=1158738
■言及pdf 利用報告等の流れ (JASRAC)
http://www.jasrac.or.jp/network/pdf/biz_houkoku/houkoku_shouyou.pdf